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三人の男たちの冬物語
【SM 官能小説】

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三人の男たちの冬物語(短編2)-1

まったく気がつかなかった…ミホコがMだなんて…


でも…あれはいつだったろうか…。

…あなたに、首輪をつけられたいわ…と、妻のミホコが冗談みたいに僕にそう言ったような記憶
がある。
多分、僕たちが結婚した頃だったと思う…そのときは、確かにミホコのあの匂いが、僕を包み込
んでいたような気がするのだ。



突然だった…。

都心から離れた下町の商店街のうらにある賃貸マンション…
一週間ほどの急な仕事で家を空けて、久しぶりに扉をあけた僕は、唖然とした。妻の荷物がすべ
てなくなっていたのだ…。

テーブルの上にポツンと置いてあった白い封筒に入っていたのは、離婚届けだった。
走り書きにされたミホコの名前と印鑑が記されていた。同封されていた小さな紙切れにはミホコ
の文字が綴られてあった。


…もう、別れましょう… 書かれてあった文字は、ただそれだけだった。

妻のミホコに電話をする。留守電になっている。仕方がないのでメールをする。妻と電話で話を
したのはつい昨日だったというのに…。


高校の同級生だったミホコと結婚して七年…すでに僕たちは三十二歳になっていた。
ミホコはある保険会社の営業主任だった。若いけど、仕事ができるミホコは異例の昇進をし、給
料も多かった。

でも結婚してから、少しずつ化粧が濃くなり、着るものや身につけるものが派手になっていった。
ミホコはどんどん綺麗になっていったけど、僕の思っていたミホコとは少しずつかけ離れていった。

そして、あの頃のミホコの体から漂ってきた匂いはなかった。消えてしまったのだ。かわりに強い
香水の匂いが僕を息苦しくしていった。


…最近、かわったよな…ミホコ…という僕の言葉に、

返事のないミホコの瞳の中に、なぜか僕が見たこともない遠い光が漂っていた。

そのときから、僕たちのあいだには、すきま風が吹き始めたと思った。
ミホコには男ができたのだ。ホテルに肩を寄せ合うように入るミホコと男の姿を、夜の街で見かけ
たことがあった。

つい喧嘩になる…言葉をかわさない日が何日も続いた。



…燿華ちゃん…ごめんなさい…どうしてもって、お客さんが言うのよ…いつもM嬢やってくれて
いるユキちゃんも、サユリちゃんもお休みなの…代わりで申し訳ないけど、今夜だけM嬢やって
くれないかしら…

…Sコースのお客さんが、どうしても燿華ちゃんがいいって言うものだから…三十歳半ばくらい
の男で、なかなかいい男だし、初めてのお客だから、少しサービスしてあげてね…

SMクラブ「ルシア」の受付で、僕が会ったママの声が、奥の部屋からする。




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