三人の男たちの冬物語(短編2)-3
…ミホコはどこにいるのかって…そんなことあなたには関係ないでしょう…いいですよ…おしえ
てあげますよ…
SMホテルですよ…
…ついでにおしえてあげますけど…ミホコさん、今、どんな姿をしていると思いますか…わたし
の目の前で首輪をしたミホコさんは、白いオッパイに縄を喰い込ませ、後ろ手に縛ってあげてま
すよ…
…いやね…わたしたちは、お互いその趣味がありましてね…えっ…あなた、そんなことも知らな
かったのですか…バリバリのキャリアウーマンでも、首輪をしてやり、縛って虐めてやると、
別人みたいに素直でかわいいところがありますね…
…見せてあげたいくらいですよ…縄の喰い込んだミホコさんのあそこをね…それにしても、彼女
のあそこの匂いは格別ですよ…淡く生えそろった毛を掻き分けて、鼻をあそこの割れ目に押しつ
けると、じつにいい匂いが漂ってきますね…
…私ね…いい匂いのする女って、すごく虐めたくなるんですよ…
男は鼻で笑うように早口で言った。
男から電話かあった夜、僕は眠れなかった。縛られたミホコが男に弄ばれ、悶える姿の夢にうな
されたとき、僕はミホコの匂いを無性に嗅ぎたくなった。
僕は迷った…別れたくなかった。ミホコを手放したくなかった。
すべてを知っていたと思っていたミホコがわからなくなり、ミホコに対する自分の心がわからな
くなった。
そして、ふらふらと夢遊病者のように市役所のまわりを何度も歩き続け、印鑑を押した離婚届を
出した。
それから僕は毎夜のように酒場で泥酔し、嘔吐を繰り返した。
そんなときだった。喫茶店で友人が持っていたアダルト系のグラビア誌を、たまたま開いたとき
だった。
似ていた…。
ミホコの若い頃の顔によく似ていたその女は、燿華という名前で、SMクラブのS嬢だったのだ。
ミホコのあのころの初々しいあの匂いが、すっと体中を包み込むように湧いてくる。どこか昔の
止まった時間が、溶け出すようにゆるやかに僕の中に流れてきた。
燿華という女の陰部が、鼻腔に蜜色の匂いを運んでくる。僕は唇をその恥丘に強く押しつける。
女の濃厚な蜜汁の臭いが、しだいに激しく僕の性欲を疼かせていた。
僕はミホコの匂いをふと思い出す。ミホコの首筋の匂い、腋の下、乳首の先、淡く靡いた陰毛の
中…でも、最近のミホコは変わった…あの頃と変わったのだ…いや…ミホコはいつもあの香水で
体中を膜で包んだように自分の匂いを隠していたような気がする。
唇の中の歯が、女の淫唇にふれると、うっ…と、女の薄い唇から零れるように嗚咽が洩れる。
僕は、唇を擦りつけるように秘丘の茂みに強く押しつける。