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God's will
【その他 官能小説】

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Conversation with a man who regains it-5

 僕は頷く。「俺を招待した奴は、ほとんど強制的に俺をこの世界に連れてきたのです。なのに、そいつがどこにいるのは俺にはさっぱり分からない」

「君は自分の意志でここへやってきたのではないのか?」男は眉をひそめる。「かつて私のところにやってきた宮下勉のようにではなく?」

「気がついたらこの世界にいた、というのが正直なところです」

「それはまた、なかなかどうしておかしな話だ。私はあくまで宮下勉をこの部屋に招いたとき、ちゃんと私の元へ辿り着けるようにした。あくまで向こうは客人なのだから、それは当たり前だ。だが、君を招いた誰かさんは君を招待したにも関わらず、君を何処にも導こうとはしていない。向こう側の人間にとって、この世界に長く留まることはあまりいい影響を与えないからね。でも、君を招待した誰かは、君をこの世界に出来るだけ長く留め、君を苦しませようとしているようだ。そこには少なからず悪意があるように私には感じられるのだが」

「悪意があろうがなかろうが、俺はルカに会えればそれでいいです」

「君は死に溢れるこの世界を歩いてここまでやってきたんだね?」

「ええ。そうです」

「にも関わらず、君には何かに怯えている様子を感じられない。多くの人間はこの世界の空間に消耗し、不安と怯えに襲われるんだが。君からはなんというか、勇気が感じられる。そんな人を見たのは産まれて初めてだよ。君が裸でいることと、なにか関係があるのかな?」

「いえ。それは俺にもわかりません」

「ふうん。面白いね」と言って男は立ち上がり、少し考えるようなしぐさをする。「いいだろう。私としては君に何も教えるつもりはなかったが、いいだろう。君には興味がある。私が知ることを教えよう。いいかい、この部屋は北海道留萌市のバンゴベにある。そして、ここは宮下勉が導かれた場所だ。宮下勉にとって、このバンゴベという場所は何か特別な意味があったんだろう。それについて、何か知っていることは?」

「分かりません。ただ、宮下勉君は北海道留萌市の出身ですから、この街で生まれ育ったことが関係しているのかもしれません」

「なるほど。多分宮下勉はバンゴベという場所になにか強い思念を抱いていたんだろう。それはもしかしたらはっきりとした思念ではなく、漠然としたものだったかもしれない。でも、要するにそういうことが関係しているんだ。君は君自身が何か強い思念を持っている場所に心当たりはないかな?」

「俺の強い思念が存在する場所・・・」

「少し考えるといい。宮下勉は私に左腕を差し出した後、キッチンの裏手にある裏口から彼自身の強い思念のある場所へ向かった。そこに彼が会いたい人物がいたからね。君もそうだ。君はその思念を感じる場所へ行けばいい。そこにルカがいる。そして、君を招待した誰かが自ら姿を現さない以上、君は先にルカを探し出すべきだろう。現時点で、君に選べる選択肢はそのくらいだ。そこにはきっと君を招待した誰かもいることだろう。その誰かが、君がルカの手を引いてこの世界を去るのをただ指をくわえて眺めているとは考えにくい」そこまで言うと男は立ち上がり、キッチンの方へ行く。やがて氷の割る音が聞こえ、しばらくして男は氷の入ったグラスを持って戻ってくる。そしてそれを僕に差し出し、テーブルの上に置かれていたペリエを注ぐ。「少しゆっくり考えるといい」


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