Island Fiction第7話-3
わたしは一つの確信を得ていた。
しかしその答えは現実味がなく、荒唐無稽すぎて口にするのははばかられる。
姉様はわたしたちの話しに加わることなく、フェラチオに没頭していた。
部屋を支配する静けさを埋めるように舌と唇を鳴らしながら、目許を歪めて鼻息を荒くしている。
カズキはわたしの回答を待っている。
すでに答えを出していながら言葉に出来ないでいるわたしを静かに見守っている。
「アザレア……」
わたしは五年の間、一度も口にすることがなかった名前を呼んだ。
彼の無言の笑みが答えだった。
「つまり、その催眠術をわたしたちにかけたというの?」
探るように、恐る恐る覗った。
「だから、洗脳だって」
「突飛すぎて笑えない」
そう言いながら、目の前の現象を信じざるを得ない状況ではある。
わたしはこれをどう解釈すべきか迷った。
「目の前で起こっている事実から目を逸らすのは不条理じゃない? それとも現実逃避? そりゃあ、チェーンソーで切り刻まれるよりも、チンチンしゃぶってヨガリまくってるほうがいいに決まってるけどね」
「どういう意味? あなた、まさか……」
「人は見たい物しか見ない。見ようとしない。快楽のイメージを与えてやれば、どんなに残虐なことであっても、否定する自己があったとしても、自分に都合よく解釈しようとしてしまうものなのよ」
「どうしてそんな……」
「最初は秘書のローズと料理人と庭師から始めたわ。屋敷の使用人は元々お父様によってある程度操作させられてたから。そうやって、少しずつ範囲を広げられるようになっていったんだけど、結局完成させるまでに五年もかかっちゃった」
と、昔を懐かしむように天井を眺めた。
わたしはいったい誰と会話をしているのだろうか。
何の話をしているのだろうか。
真面目に受け答えしている。
バカげている。
「んぐっ、ううん、はうぅん、んんんっ」
姉様の生唾を飲み下す生々しい音に力がこもり、わたしたちの会話を遮った。
「うるさいな。今、話してるんだから。お母さんはそこでオナニーでもしててよ」
「ごめんなさい……」
と姉様は従順な犬となってすごすごと引き下がり、テーブルの上へ登ると、ショーツの中へ手を入れてヴァギナを弄り始める。