雨の半休日-4
「おぅ、悪い悪い。
じゃ、一緒に入ろ!」
…って、あたしのバカー!!
せっかく普通の会話ができてたのに!!
アニキのバカー!!
あたしが避けてたの、分かってるくせに!!
…入ったら、どうなっちゃうの!?…恐い。
「……」
無言になってしまったあたしに、アニキはイラッとしたのだろうか。
「ほら、早く入れよ!
カゼ引くって言ってんだろ!?」
…っ、なんで、怒鳴るの?
「そんな泣きそうな顔すんな、馬鹿!」
もう、我慢できなかった。
涙が、ぽろり…
「バカ!?
なんでっ、アニキなんかに、バカって言われなきゃなんないの!?
アニキが悪いんじゃん!
…あたしが、せっかく顔合わさないようにしてたのに!
また、この前みたいに…あんなコトにならないように、気を付けてたのに!
…っ、なんで、怒鳴るのよぉっ!
アニキのバカー!!」
うわぁ…ん!
涙が、止まらない。
赤ちゃんじゃないんだから。
アニキも、とまどってる。
「分かった、悪かったって!
謝るから、とにかく風呂入れよ!
カゼ引くから、なっ?」
ぐぃ!
あたしは、手を引っ張られ、暖かいお風呂場に足を踏み入れた。
泣いたことと、寒いことで、がちがち、震えが止まらない。
ざっ、と、シャワーをかけられる。
思わずぶるっと震えが来た。
そして、ほぁっと体の力が抜けていく。
「泣きやんだか?
ほら、あったまって。
オレ、体洗ってるから、シャワー使ってな」
優しい声でアニキが言うので、背を向けて、うなじにシャワーを当てる。
そう言えば、ずっと前に、うなじを温めると全身が温まりやすいって教えてくれたのは、アニキだったな…。