雨の半休日-19
…はーっ、はーっ…
呼吸が整わず、耳鳴りがする。
二人で、ぐったりと汗ばんだ体を合わせてベットに沈んだ。
でも、背中にのしかかられても、重くはなくて、やっぱり時々、こうやって"優しいお兄ちゃん"を感じる。
「…亜紀子…お前、すげーイきっぷり…」
「…おにぃちゃんの、せい、だもんっ…
怖かったんだから…!」
荒い息混じりでからかってくるから、あたしはつい本音をこぼした。
そうしたら…
…―ぽろっ、ぽろぽろっ
「わっ、お前、なんで泣いてんだ!?
そんなに嫌だったのか」
「…違う…わからなぃ…
なんで涙出るのかな…?
ほんと、怖かったんだよ?あたし…」
「…悪かったよ、つい虐めたくなるんだよな、お前って。
言っとくけど、これはお前が、この数ヵ月無視しまくったお仕置きだからな?
…あ、ナカ締まった。
やっぱお前、Mなんだなー」
…あたしがMなんじゃなくて、お兄ちゃんがSなんでしょうが。
「だってさ、お前、昔っからそうだったじゃん?
まだちゃんと歩けない頃から、オレの後を金魚のフンみてぇに付いてくるし。
オレのやること全て、キラキラした目で物欲しそうに見てきてさぁ。
そのくせ、置いてかれると泣くし、親に怒られるのはオレの方だし…。
結局、お前には敵わねぇんだよな…」
…うそ。
お兄ちゃんは、そんな風に思ってたんだ。
でも、グチりながらも、熱い身体を離すことはなく、優しく髪をすいてくる。
いつものお兄ちゃんと違うから、どんな表情したらいいか分かんないよ…。