恋愛小説(1)-19
「ごめん」
「もー。またそうやって謝る」
「でも」
「でももストもなし!私はちーくんが好き!ちーくんは私を好きくないけど、そばにいたい!それでいいやん!!」
デモもストライキもするつもりは無かったけど、千明のその言葉には、素敵な説得力が含まれていた。本当にこれでいいのだろうか。という僕の問いに、本当にこれでいいだ、と納得させる力が。
「そうしてくれんと、私がこまるんやもん」
◇
僕と千明の関係が変わらなかったのは、今の僕らの関係を見てもらえればわかると思う。心ない人はこういうだろう。なんて酷い男だ、と。僕も全面的にその意見に賛成だ。ただ千明だけはその意見に反対している。あれからも千明は、僕とサークルを繋ぐ橋になり、僕が唯一話すサークルメンバーであり続けた。
僕はと言えば、最初の方こそ千明のことを気にして控えるようになっていたのだが、こっぴどく千明に怒られたのでやめた。
「ちーくん、絶対に気にしてるやろ!」
「いや、気にしないほうがどうかしてると思うけど」
「じゃあどうかして」
「無理」
「じゃあせめて今までどおりにして?」
「難しい注文だね」
「返事は!?」
「努力してみるよ」
「よろしい」
「でも千明?」
「ん?」
「……いや。なんでもない」
「……?変なちーくん」
僕は変なのだろうか。僕が変わってるならば、千明はもっと変わってる。