告白リベンジマッチ-9
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「――うっしゃあ!」
「……負けた……」
数分の後、太鼓ゲームの前にはガッツポーズを決める吾妻とうなだれる私の姿があった。
「なんでよぅ……この前はそりゃちょっとは苦戦したけど、まだ結構差があったのに……!」
「男子三日会わざれば刮目して見よ、ってな」
「毎日会ってんじゃん」
「いや、言葉のあやだよ」
余計な茶々を入れるくらいには、ショックだったりする。私の無敗伝説が……。
「あー、楽しかった」
「私は悔しい……いやまぁ、全力で出来たから楽しかったけどさ」
「この前ここに来たときもさ、思ったんだよ。楽しいなって」
こちらを向いて、吾妻が話す。
「一緒に騒いで楽しんで……また来たいな、ってさ。それだけだったら他のやつと一緒だったんだけど……でも、それだけじゃなかった」
なぜだか、吾妻から視線が外せない。
「テディベアを助ける!って頑張ってるときの水澄を見てたらさ、思っちまったんだよ。もっとたくさん、水澄と一緒にいたいって」
今まで聞いた事のないくらい、真剣な吾妻の言葉。
私はようやく気づく。
これはきっと、昼休みの告白の続きなのだと。
「そうなってからもう、気がついたら水澄の事がずっと気になってて……あぁもうちくしょ、何て言ったらいいんだ」
「……大丈夫。きっとちゃんと、伝わってる」
その言葉は真っすぐ私を向いていたから……驚くほどすんなり私に届いてくれた。
そっか、と呟いて吾妻は一つ大きく息を吐いた。
そして、
「だから水澄、もう一回言う。……お前の事が好きだ。俺と、付き合ってほしい」
真っすぐ私を見て、告白してくれた。
「……私、」
返さなきゃ、答え。
嬉しい。すごく。
だったら答えなんて一つしかないはず。
でも、それが言えない。
一つだけ、私の中に引っ掛かるモノがあるせいで。
……ちゃんと、言わなきゃ。
真剣に言ってくれた吾妻に答えるなら、私もちゃんと伝えなきゃいけないと思う。
「……私、私ね」
だから、言わなきゃ!
「――分からないの!」
「告白してくれたのはスッゴく嬉しいし、私だって吾妻の事嫌いどころかむしろ好き……だと、思うしっ」
「…………」
吾妻、目をパチクリと。
しばらくそのまま停止していたが……やがて口を開いた。