Island Fiction第6話-3
「んあっ、はぁん、あ、んんうん、あぁ――っ」
人目をはばからずに喘いだ。
力が抜けて、立っているのが辛い。
膝がブルブルと痙攣して絶頂が近づく。
「バイブは使わないのかい?」
バーコード頭のオヤジが言った。
まさに愚問だ。
バイブレーターとは、オマンコへ突き刺し、かき回すための道具である。
ドラムがあれば叩いてみたくなる。
サッカーボールがあれば蹴ってみたくなる。
バイブがあれば入れてみたくなる。
当然の欲求なのだと、自分に子供じみた言い訳をする。
「入れますね」
「咥えるところをしっかり見せろ」
「はい……、よく見てください」
男たちと何よりもヴァギナの要求する通り、わたしはバイブを突き入れた。
「んんんぅぅん……」
熱さも脈動もないオモチャの感触に違和感を抱きつつも、徐々に埋没を深めていく。
「ううん……、太いぃぃ……」
息を詰まらせて喘いだ。
期待で震える指をスイッチへ置いた。
「おい、動かすなら、ちゃんと一言言えよ」
「あぁぁっ、ご、ごめんなさい……、スイッチ……入れます、入れていいですか?」
「思いっきりイクところを見せてくれ」
「ありがとうございます」
抵抗する肉壁を押しのけながら、バイブの先端がクネクネと動き出す。
「ああ、うぅぅんっ……、くぁぁあっ……」
首を振ってイヤイヤをしながら、堪え忍んだ。
溢れた甘露がバイブを伝って滴る。
クルミの死はショックだったけれども、不思議と悲しさはなかった。
彼女とは特別仲がよかったわけではない。
それでも長く一つ屋根の下で暮らしていれば、情というものは芽生えるものだ。
きっと、わたしは薄情な人間なのだろう。
クルミが切り刻まれるのを、黙って眺めていることしか出来なかった。
媚薬のせいではない。
怖かったのだ。
お父様を亡くしてからのわたしは惰性で生きていたけれども、死への恐怖はあったのだ。
思えば、あの怪しげな店へ行かなければこんな気持ちにはならなかった。
目をつむり、口を閉じ、耳を塞ぎ、武井にオモチャにされる人生だとしても、そのほうが幸せだったのかもしれない。
僅かに残っていた理性も隅へと追いやられていく。