大切にするよ-1
坂下ひまわり。
祖父母が経営するアパートに住むあいつは、どこか抜けててほっとけない。
つい面倒をみてしまう。
まぁ、面倒を見るのはそれだけが理由じゃないけどね。
そんなあいつは先日、俺の彼女になった。
俺が本を読む隣でテレビを見てたひまわりは、気付いたら寝息をたてている。
一緒にいても、おしゃべりするでもなく、お互い違うことをしてる…ということはざらにある。
すごく自然に過ごせる。
一緒にいて心地よい。
この話を親友の健斗にすると「老夫婦の日向ぼっこみたいだな」なんてからかわれる。
こんな関係になるなんて、初対面のときは思ってなかったけど。
第一印象は芸能人でも越してきたのかと思った。
大きい瞳にふっくらした唇髪はふわふわしてて、小柄なわりに胸元はふっくら膨らんでて…。
別に胸をそんなにじっと見てたわけじゃないからな!!
とにかくそんな可憐な見た目の彼女に俺は一目惚れしてしまった。
だけど彼女が意外と男らしい料理を作ったり、可愛いもの好きで部屋の中が黒とピンク色でウサギグッズだらけだったり、虫は怖いくせにグロい映画とかホラー映画は好きだったり…
そんな一面を知るたび、どんどん好きになっていった。
だから、男の俺からみてもカッコいいと思う先輩が、ひまわりのことが好きだという噂を聞いたときは焦った。
焦って、告白した自分には驚いた。
これからも一緒にいる。
そんな約束ができたようでなんだか嬉しい。
大切にしたい。
大きめのパーカーにショートパンツを履いて無防備に眠る彼女に理性をぐらぐらと揺らされながら、今読んでいる本に意識を集中させるのだった。