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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-2

「うぇ……あっちぃ」

「それで、なんだい?」



私がそのあまりの暑さに短いスカート(もちろん、校則違反だったが)をパタパタとさせ、次にセーラー服のリボンタイを解いて襟元も同じようにしていると岐島は私の方を見もせずに訊ねてきた。

そこはかとなくムカッとし、その痩身の肩を掴んでコチラを向かせると私は三十センチ弱の身長差のため、見上げるようにして答える。



「あの、よ……。いや、まず笑わないか?」



私の問いに岐島は再び視線を逸らし、しかし、すぐに戻すと呻くように返した。



「……内容による」

「笑うのか!?」

「だから、内容によるって」

「ぅ……ぐ……。うん、まあ……そうだな。じゃ、じゃあ手始めに――岐島って友達はいないよな、クラスに?」

「それが手始めな質問だとは到底、思えないくらい断定的で不躾な質問だけれども……いない」

「そっ、そうだよな!いないよな、やっぱっ」

「……?おかしいな。いつものきみならば、ただ、いないって答えればいいだろ!、と言ってくるはずなんだが……」

「うるせっ!ヒトの反応を予測するんじゃねぇ!」

「そう、それだ」

「〜〜ッ!」



表情どころか、まゆ一つ動かさずに岐島は私の顔を指で指し示した。

堪らなく物言いたい気分になったのだが、ここは我慢することにする。いちいち、取り合っていたら話しが進まなくなってしまう。うん、我慢してやる。

私はすうぅ、と息を大きく吸い込むと一息に吐き出し、意を決すると岐島へ口を開いた。



「友達がいないってことは、そりゃ、つまり……岐島は研修旅行の班は決まっていないよな!?」

「……ぁ――。つまり、きみも決まっておらず、ウチのクラスは計三十七名であり、五人の班のために確実に二人余るので、二班だけ六名にする可能性が高いのだが、ここで俺と班を組んでおけば、四人の班を三班作る可能性が浮上し、六人になってしまった不幸な班員たちから迷惑そうな顔を向けられることもないため、俺と班を組もうとしていたけれど人数が揃わなかった――という設定を装いたいんだな?それで、友達がいないなんてことを良い齢をして口にするのが恥ずかしかった、と」



だから、ヒトの思考を解読するんじゃねぇっ!――という言葉をグッと飲み込んで私は頷いた。




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