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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-13

「く、くくっ……ああ、そうか。そうだね、うん、そうだったそうだった。くっ、ふふっはははっ……」



この前もそうだったが、コイツの笑いのツボはよくわからない。

二度目の私だって着いていけないのだ、相原など両目を広げ、呆けていた。



「あ、あの……」

「いや、ね。違うんだよ。俺の転校の理由は母が亡くなったから、祖父の元へと引き取られることになっただけなんだよ。イジメのイの字も関係ない。第一、言っただろう?俺はイジメというシステムに理解があった。あんなものは時代の変わった人柱だ。肝心なのは諦めること。少なくとも自分ではなにもせずに、誰かが助けてくれるのをひたすら待つだけさ。究極の他力本願だな。まあ、あとはその場所から逃げ出すかだ。物理的か、肉体的かはわからないけれども……」

「そう……だったんだ」

「どうせ、俺が転校したあとに、やりたいだけやっといたくせに連帯責任などは取りたくない、自称、見ていることしかできなかった、贖罪の気持ちで一杯だ、とかいう愚かな偽善者がのたまわったんだろうね。自分の罪の意識を薄れさせるために」



それをバカ正直な相原柚子葉の胸に棘となり、刺さり続けていた、ってことか。

岐島は相原へと口角を歪ませて見せる。



「当人はそれで満足し、今頃は忘却して青春を謳歌しているだろうさ。だから、きみも無意味な贖罪の意識など持つだけ無駄だよ。毎度、顔を合わせる度に複雑な表情を浮かべられるのは俺も堪らないからね。どうせ、今回の班決めだって、孤立する俺への同情か、または謝る機会でも窺うつもりだったんだろ?」



相原は、岐島の特殊スキル――読心術に驚いたようだったが、小さく首を縦に振った。

きっと、岐島の言った両方の理由だったんだろう。

んま、良かったんじゃないの?旅程一日目にして、目的が達せるコトができてよ。ただ――、

私は右隣で至極、不満そうな表情の林田を見つめた。

大団円、ってわけじゃ、まだなさそうだな。




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