Crimson in the Darkness -邂逅-(side;lee)-1
お母さんが、赤い……
傍にいるのにずっと動かない。ずっと、ずっと目を閉じたまま動かない。
真っ赤になった白い服。布団も赤く染まって、全部が真っ赤だ。
「…………もう、目、開かないの…? もう、起きないの…? お母さん…」
顔や手は触っても冷たい。赤いところはまだ触るとぬるぬるしてる。
自分の手を見たら、真っ赤になっていて、匂いがした。
……甘くて……イイ匂い……
そして、喉が乾く。
お母さんが真っ赤になってから、何も食べてないからなのかな。お腹、空いた。
何でだろう。お母さんが動かないのは悲しいはずなのに、この赤いモノが欲しくて堪らない。
さっきまで悲しくて泣いてた筈なのに、いつのまにか涙も乾いてる。
「お腹、……空いたな……」
そう思えば思うほど、目に映る赤い赤いモノから甘い匂いを感じる。
ぼんやりと“お母さん”を見ていると、徐々に何も考えられなくなって、気が付くと手に付いた赤いモノを舐め取っていた。
それは……甘くて……美味しかった……
そうやって気付く。