僕が君にできること-4
『いい反応ですね、あなた』
「え・・・え?!何、なんで腕が変な形・・・ど、どうして?!なんで?!」
大まかな形は人間の腕に良く似ている・・・かもしれない。
でも、針みたいな突起がびっしりと体毛みたいに生えていた。
おまけに黒い紫色をしてて、ずっと見てると気味が悪くなってくる。
サラは突然の事態にパニックを起こして、自分がどこを見ていいのかすら分からなくなっていた。
『良く分かりましたね、私が人間ではないと』
「忘れねえよ・・・その声、下品ながらがら声はな!!」
家族、友達を襲った悪魔とは外見が違っていた。
しかし同じだろう、人間を何とも思ってないところは。
「逃げろサラ!!」
「え・・・?!で、でもマサルは?!」
「いいから逃げろ、早く!!走れ、さっさと行くんだ!!」
俺は夢中で叫んでいた。
自分より、とにかくサラを逃がす事だけを考えていた。
サラは何度か振り返りながら、急ぎ足でその場から逃げ出していった。
良かった、きっとサラは助かるんだ。
『つれないですねえ。私はただ人間とお話したかったのですが・・・』
「嘘をつくんじゃねえ!そんな出任せに騙されるか!」
奴らは言葉を話せる。
つまり、人間を騙す知恵があるんだ。
俺を襲った奴らはみんな・・・喋って、その場に足止めしてきたんだ。
そして油断したところを・・・
『成程。お見通しなんですね。では、仕方ありません』
悪魔は立ち上がり、俺を見・・・下ろした。
なんてでかさだ、まさかこんなにでかいなんて。
・・・死ぬ、殺される。俺の命はここで終わるんだ。
死ぬ、死ぬ・・・殺される・・・死ぬ・・・
『安心しなさい。なるべく苦しまない様にしてあげますからね』
サラはちゃんと逃げられただろうか。うっかり戻ってくるなんて・・・まさか無いよな。
いいんだ、付き合う必要なんて無い。死にたがってる様な馬鹿は、勝手に死なせておけばいい。
でも、そんな馬鹿だって出来る事があるんだ。
俺が身代わりになったからサラが襲われる事は無い。
サラは俺と違って必要な存在なんだ、誰とでも仲良くなれて、話す奴はみんな明るくなれて、俺とは正反対だ。
そんなやつを捨て石となって守れるんだから、俺の人生も悪い終わり方じゃ無かったかもしれない。
いざとなったら覚悟が鈍るかな、なんて思ったけど
悪魔を目の前にしても別に死んでもいいやっていう思いは変わらない。