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僕が君にできること
【ファンタジー その他小説】

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僕が君にできること-3

(虐げられてきた動物達が、怒ったのかもね。我々人間に対して・・・)

いつだったか寝る前に母親が言ってた。
人間は自分達の欲望の為に、動物達の棲み家を奪っていった、と。
地上を走る乗り物、空を飛ぶ機械、細長いビルって建物が立ち並ぶ街・・・
それらを作る為に動物は元からいた場所を追い出されて、数まで減らされたそうだ。
だから・・・人間がこうなるのは当然かもしれない。
傷つけたからやり返される。

母親は時折哀しそうに天井を見つめながら呟いていた。


「・・・!」


先を歩いていたサラが急に立ち止まった。
何か見つけたのかと思い、俺もサラが見ている方に目線を向けると・・・

「誰だ、あれ。見かけない顔だな」

薄汚れたローブを身にまとった男が、地面にしゃがみこんでいた。
耳が隠れる程度の長さで、傷んで艶が無いパサパサの茶髪だった。
俺達を見上げる目は黒く、まるで屁泥のように濁っている。
少なくとも、あまりいい印象じゃ無かった。
・・・俺も同じ様に見えてるのかな、この男から

「大丈夫ですか?具合が悪いんですか」

関わりたくない俺とは逆にサラは相手を気遣っている。
まったく、お前のお節介は筋金入りなんだな。

こいつ、見かけない顔だ。
最近は地下にいる奴らとろくに顔を合わせてないんで分からないんだが、知らない間に来たんだろうか。
でもサラの接し方は初対面っぽいし、俺達の仲間じゃないらしい。
他の地域にも似た様な場所があるから、もしかして迷い込んできたのか。


『・・・ええ、ちょっと腕が痛むのです・・・』


随分声が擦れててかなり苦しそうだ。
ま、まさか、悪魔に襲われたとか・・・?!
だとしたら、本人には悪いがついてるな。だって・・・殺されずに済んだんだから。

「大変、すぐ手当てしなきゃ。近くに私達の家がありますから行きましょう。立てますか?」
『大丈夫です。歩くくらいならなんとか・・・』

それにしても随分擦れてるな。
まるでヤスリで直接耳を磨かれてるみたいに、重く響いてくる。

・・・でも、なんか初めて聞いた気がしないな。
以前も聞いたことがある様な、不思議な感じ・・・


「危ない、サラ!!」


俺は咄嗟に道端の骨を拾い、そいつ目がけて振り下ろした。
だけどそいつを殴る事は出来なかった。
ローブの下から出した奇妙な形状の腕で、骨を受けとめられてしまったからだ。


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