Crimson in the Darkness -決意-Z-7
「見送りくらいすれば良かったのに」
シエルが微苦笑を浮かべながら言う。
「いいんだよ、ンなコトしなくて」
「ふうん。どうせ抑えが効かなくなるからでしょ。『行くな』って言いそうな気がした?」
「………解ってンなら聞くな」
例え言わなくても顔に出てただろうから、会わない方が良い。そう思ったんだ。
「だね。ごめん」
その言葉を最後にシエルは口をつぐんだ。
自覚すればするほど、手に入れたくなる。傍に置きたくなる。でも、それは今じゃダメなんだ。今手にしたら、どっちもダメになる。
だから、ちゃんと向き合える状況を作って、その上で手に入れてやる。
―――絶対に。