EP.FINAL お兄ちゃんと超ラブラブ-11
・・・翌日・・・
「また会えて嬉しいぞ、典明、ひかり!」
「ただいまー。お土産いっぱい買ってきたわよ!」
サボテンの様な無駄に長い帽子を被り、ピンクのレイを首から下げて、ロシアの兵隊の様な格好をした父親。
チャイナドレスに身を包み、星条旗柄のバンダナを巻いている母親。
果たして幾つの国を渡り歩いたのか、国境や赤道すら超えたワールドチャンプルーぶりである。
あの典明が引きつり笑いする程の出鱈目な格好だった。
「さあ、明日から仕事だ、悪いが今日はもう寝るぞ!」
挨拶すらろくに交わさず、また着替えもしないで父親は寝床に伏せてしまった。
ドリルが岩盤を削る音すら凌駕する鼾をかきながら、下品なガスまで撒き散らしている。
「じゃあママも寝るわね。おやすみ、典明、ひかり」
「・・・あ、ああ」「おやすみなさい・・・」
父親と同じく床に伏せようとした母親が、急に振り返る。
「どーしちゃったの、ひかり。なんかあった?」
「はあっ?!なな何って、どういう意味?!」
「だって、典明と手繋いでるから。うふふふ、小学生以来じゃないかしらね」
「こっこれは、そのっ、この変態が手繋がないと見せるぞって言うから」
「・・・そう。まあ、それならそうでいいわ。じゃあおやすみなさい、ひかり。変態」
何やら含み笑いをして、母親も床の間に消えていった。
「ばれてる、かな」
「思わせ振りなだけだ。俺達の格好を見て怪しむはずがない」
誰が見ても怪しむだろう。
だって、2人とも素っ裸だもの。
典明の変態菌の侵食スピードは凄まじかった様だ。
「これからどうしよっか。夏休みもまだあるし」
「決まってるだろ。愛の世界一周旅行だ」
典明とひかりは見つめ合い、互いの体に腕を回しながら、口付けを交わした。
2人にはもう何も要らない。
典明にはひかり、ひかりには典明、ただそれだけで全てが満たされるのだから。
「ひかり・・・」
「・・・お兄ちゃん」
「ひかり、ひかり・・・」
「お兄ちゃん、えへへっ。お兄ちゃん・・・」