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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -決意-U-1

「グレイ輔祭様っ」





 礼拝堂に戻ると、中からシエルの非難めいた声が聞こえた。





「お前は黙っていろ、シエル。リアナ・シルフィード、あの子供をお前はどうするつもりで助けた?」





 聖母像に凭れかかったまま立つリアナに爺さんが詰め寄っていた。





「…………どういうつもり、というのは…………意味が解かりかねますが……?」





 まだツラいのだろう彼女の口からは言葉と一緒に荒い呼気も聞こえる。





「何の意図も無く、ただ、助けただけだとでも言う気か?」



「………………。現況から判断する限り、あの子は“危険視”レベルには……達していません。まだ……、人として……十分にこの世界で生きることが出来ます。そう判断した上で、あの子の手助けをしたいと考えています……。が、そう言っても…………信じませんか? 別に構いませんが……」





 爺さんもリアナも互いに牽制し合ってる。声が“そう”だ。傍に居るシエルも固唾を飲んで見守ってるし。



 近付くにつれ、リアナの表情に侮蔑が混じってるような気がしなくもなかった。いつものように笑ってはいるんだけど、そんな気がした。



「はっ 私がお前たちを信じる、と? “神”の名を騙(かた)り、信徒を欺(あざむ)くお前たち“女教皇(エイシェル)派”を信じろというのか」





 嘲笑と共に爺さんは吐き捨てるように言って、踵を返した。




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