歩く道-エピローグ-4
「そう? あたしは湯来サンほどじゃないよ。湯来サンは誰にでも無条件で優しいんだよね。どうすればそんな風になれるのかわからないけど、あんな人見てると毒気抜かれちゃう」
「…………」
明希は尚もへらへらと笑いながら言う。
「人を信じるって難しいよね。でも、湯来サンは何でかな信じられるんだ。そしたら少し世界が変わったの」
「……世界が……変わる」
本当に変わるだろうか……今までどれだけ願っても変わらなかったのに。カイキは明希を見下ろし、ジッと見つめる。
「カイキくんにもきっといつか解るよ」
「……少しでも変えたい……」
カイキは苦しげにそう告げると、視線を落とした。
父親の柵(しがらみ)から解放された今、人を信じられない自分を変えたい。そう思えるから。
「うん。一緒に頑張ろ」
明希はカイキの手を握り、優しく笑った。明希の手を握り返すとゆっくりと息を吐き、肩の力を抜いた。
「…………頑張ってみる」
-Fin-