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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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歩く道-エピローグ-3

「家出して1年半は学校のセンパイの家に入り浸ってた。年、嘘吐いてバイトして、夜は外で暴れてた。似たようなコたちの集まりがあって、そこに顔出して、たまに喧嘩して、怪我して、また家に入り浸る。そんなことしてたかな」

「学校のセンパイ?」

「あたしが中2で、センパイは高1だったの。一人暮らししてる女の人」

「中学生?」

「うん。それから帰ってない。今もずっと」



 4年半、家に帰らずに一人で何とかして生きてきたと言う明希にカイキは驚くと言うより感心した。



「だから、今学校に通ってるのか」

「うん。そ。その時は高校の『こ』の字も頭になかったから。その学費は兄さんが出してくれてるんだけどね」



 明希は少し申し訳なさそうに笑った。すると、頃合いを見計らったかの様に湯来が食事を運んできた。



「はい! 明希ちゃん、カイキくん。ちゃんと食べなさいね」

『はい』



 テーブルに並べた湯来はそう言うとまた厨房に戻っていった。





****





 真っ暗な空に月がぽっかりと浮かぶ頃、取り敢えず2、3日分の着替えを紙袋に詰めて、アパートから喫茶店に戻る道すがら。



「…………明希」

「何?」



 歩くテンポを落としたカイキは隣を歩く明希を呼ぶ。



「明希は何でそんな風に前を見れるんだ……?」



 そう問い掛けるカイキを明希は見上げると、どことなく不安げな、苦しそうな顔がそこにはあった。



「湯来サンを見てるとね、何かうじうじ考えるのいやになるんだよね。ほら、湯来サンってお人好しでしょ。見ず知らずのコを拾って、アパートに住まわせちゃうんだよ?」

「…………明希も大概だと思う」



 へらっと笑う明希にカイキは少し呆れ気味に溜め息を吐いた。

 見ず知らずの男を部屋にあげた上に、泊めるのはお人好しだろう、と。それか無警戒なだけ。




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