来訪-6
「目がね、暗いよ。アキも同じだったんだ。僕や両親がそうしてしまったんだけどね」
よくわからなくて、カイキは黙り込む。明希をそうしてしまったのが両親であり、慎悟、だと。
「あ、ああ、言ってなかったかな。僕はアキの兄なんだよ。母親は違うけど」
「…………兄妹」
明希と同じ笑みを浮かべた慎悟を見つめるカイキに、兄だと言った彼は軽口を叩く。
「安心した? キミが拠り所にしている彼女と僕に血の繋がりがあって」
「…………」
「アキに駆け寄ったキミは凄く泣きそうな顔をしてたから」
慎吾の言葉にカイキは息を詰めた。
泣きそう……?
心配は、した。間接的に傷付けたことも苦しくて、あの時の言葉も謝りたかった。でも、誰かを拠り所なんて、思ったことない。
「アキはキミを心配していたよ。アルマの話をしたときにいたく辛そうだったらしいから。キミはよく理解してたんだね。自分の父親が何をしてるのかって。犯罪に手を染める父親をみるのは辛かったかい?」
「っ 俺は……嫌だったんだ……あの人が誰かを傷付けるのが……誰かが傷つくのが怖い」
「うん。キミは優しいね」
「…………」
白い大きな建物の前に車が停まると、慎悟はニコニコ笑った。
「さ、着いたよ。アキに会いにいこうか」