Island Fiction第5話-4
「俺に恥をかかす気か?」
武井がわたしの髪を乱暴につかみ、振り回した。
「痛いっ!」
わたしは引き倒され、追い打ちをかけるように蹴りを入れられた。
つま先が脇腹に食い込み、息が出来なくなった。
「君はいったい何がしたいのかね。それは売り物ではないのかな?」
ササキが冷静に尋ねた。
「すいません。つい、悪い癖で……」
武井は慌て、お辞儀の連打が謝意のレベルを上げるわけでもないのに、ペコペコと何度も頭を下げた。
「着てる物を脱いでくれるかな?」
もう一度ササキが言った。
わたしは暴力の前に心が萎れた。
死ぬのは嫌だが、痛いのも嫌だ。
目の前の困難から一時的にでも逃れようとするのは人として当然の欲求だ。
わたしは諦め、恐る恐る着ていたものを剥いだ。
指先が震えてシャツのボタンを外すのに手間取った。
ジーンズを脱ごうとして、よろけて転びそうになった。
「下着は身につけていないのか。昔からの習慣は変えられないんだね」
ササキは不自然に真っ白な歯を見せた。
わたしとササキは物心ついた頃からの仲だけれども、笑い顔は初めて見た。
とても悍しく、寒気がした。
ササキがアイドル歌手を解体していた、あの時、わたしと目が合った時の、あの感覚だ。
ササキが乳房を鷲づかみにして弾力を確かめる。
「痛っ!」
あまりに強く力を入れられたので痛かった。
「小振りだが、適度に張りがあって、形もいい。乳首も綺麗だね」
と乳首を親指と人差し指でつまむ。
「ううっ……」
ねちっこくクリクリと指先で捏ねられ、合間に乳房を手のひらで揉みしだく。
屈辱と恐怖と、信じがたいことだけれど、興奮が混ざって上気した。
「ここへ足を乗せてごらん」
とササキは自分の膝を軽くたたいく。
わたしは言われるままに片足を男の膝に乗せた。
申し訳程度に恥毛が生えた裂け目をさらした。
肉襞を左右に開いて中身を覗かれた。
息が掛かるほどに顔が近づく。