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Island Fiction
【SM 官能小説】

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Island Fiction第5話-10

目を覚ますと、わたしは床に突っ伏していた。

店内は明かりが灯され、静まりかえっていた。

起き上がると、男たちの乾いた体液が体中の肌を突っ張らせた。

どういうわけか、わたしの手には拳銃が握られていた。
ずっしりとした重さが殺傷能力を備えた武器であることを体現している。
下半分がプラスチックで構成されていて、一見オモチャのようだが間違いなく本物だ。

時が止まった店内で、BGMの「Bohemian Rhapsody」だけが流れていた。

オペラのように「ママ、ママ、僕を助けて」と歌い上げた後、ロックへと変わった。
リズムが加速し、エレキギターが復活した。

客たちはみな倒れていた。
ある者はテーブルに額を当て、ある者は膝を突いて体を折りたたむように床へ顔面を押しつけていた。
またある者は女に覆い被さり、ある者は自分のペニスを握りしめながら丸くなっていた。
わたしを除いた店にいる全員が死んでいた。

辺り一面が血と脳みそと脳漿の海になっていた。

椅子もテーブルも、その上のグラスに至るまで、変わった様子は何一つない。
争った形跡が見当たらない。
プロのような鮮やかな仕事だ。

信じがたいことに、状況はわたしの仕業であることを示している。
ところがわたしには身に覚えがない。
わたしは銃の撃ち方すら知らないのだ。

男たちのザーメンを散々浴びて、床に倒れたその先の記憶がまるでない。

立ち上がろうとしてよろめいた。
足がもつれて転んだ。

ササキの体が目の前にあった。
剥き出しになったペニスがだらし無く横を向いていた。
額に一つ、十円玉よりも小さい穴が開いている。
後頭部は割れたスイカのようにパックリと口を開き、頭皮が捲れ上がっている。
瞳孔が開ききった目がわたしに向けられていた。
その顔はわたしへ助けを求めているようであり、わたしを責めているようでもあった。

死に際にこの男は何を思ったのだろうか。
少なくとも、わたしへの懺悔ではないだろう。

わたしのヴァギナからザーメンが垂れていた。
指を突っ込んで入り口を広げると、大量の精液がドロッとこぼれ出た。
社長の高級スーツで拭き取った。

BGMの狂詩曲は静かに終演を迎えようとしていた。
ギターの旋律がピアノへ引き継がれた。
「僕にとっては大したことじゃないさ、どのみち風は吹くのさ」とピアノの調べに乗せて語りかける。

クルミは生きていた。
鎖にぶら下がる肉片となりながらも、黄泉路へ旅立つ直前で踏みとどまっていた。

わたしは残されているクルミの左手を取った。

クルミに握り返す力はなく、わたしを見つめ返すこともなかった。

「クルミ……」

耳元で呼びかけると、クルミの消えかけた命の炎が僅かに輝きを取り戻し、かすかに唇が動いてわたしにささやいた。

「スミレ姉様に会いなさい」

わたしを導く最初で最後の姉らしい言葉だった。

わたしはクルミを抱きしめる代わりに、乳首に口づけをして別れを告げた。



〜6話へ続く〜


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