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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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亀裂-5

「甘いな。血の味だ」



 そのまま首から肩へと舌を這わせ、手は下着の中へと入り込み膨らみに触れるとやんわりと揉み始める。



「やめっ 触るなぁっ!」



 強張りだす身体を無理やり動かし、明希は全力で拒絶を示す。それをただ笑って流すと、男は胸を弄りながら明希のベルトに手を掛けた。

 そんな中、部屋にまた誰かが入ってきた。



「おい。止めろ。社長命令だ」



 そんな声が耳に届くと、明希に跨がっていた男は舌打ちと共に身体から離れた。明希は小さく安堵の息を吐いた。



「何でだよ? 今からってトコだってのに」

「坊っちゃんが戻ったんだと。でも、これで終わりじゃない」



 今しがた部屋に入ってきた別の男が明希の傍に膝を突くと手に持っていた注射器を彼女の肩に射し、何かを注入した。



「!?」



 目隠しのせいで自身に何が起きたのか解らず、狼狽える。



「安心しろ。毒じゃない。直ぐに気持ち良くなるさ。素直に話せばこれで終わりだ」



 ふわふわと頭が溶けそうな感覚に襲われ、明希は意識を朦朧とさせていく。固く閉ざされていた口は力無く開き、小刻みに息を漏らす。



「何したんだ?」

「あの街で出回ってる麻薬だ。薬物反応が無かったから、使えってよ。このガキの元締めに見せしめるんだろ」



 意識が無くなりそうな中、最後に聞こえたのはそんな会話だった。






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