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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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亀裂-3

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 少しみじろぐだけで左腕に激痛が走った。痛みはそれだけではなく、腕ほどではないが身体中が痛い。



「……っぁ」



 痛みを与える連中が何故か居なくなり、静かになった今、冷静に今までのことを思い返す。





 視界を閉ざされ、冷たい部屋に連れてこられた。

 後ろ手に拘束されたまま部屋に転がされ、しばらくすると何人か人が入ってきた。胸ぐらを掴みあげられ、立ち上がらされた途端に思い切り平手打ちを見舞われた。それからは蹴られ、殴られ続けた。相手は子供で女と言うことでか、力は加減されていたけれど、痛いものは痛い。



『篠塚明希とか言ったな。お前、誰に頼まれた?』



 どれくらい経ったのか解らなかったけど、遅れて入ってきた男がそう尋ねてきた。それで合点がいく。尻尾を掴まれたのはこっちも同じだったのだ、と。



 素直に答える訳もなく『知らない』と言えば、手を拘束していた縄をほどかれ、左腕を捩りあげられる。
そして、鈍い音が骨を通して頭に伝わり、声を上げるまいと噛み締めた唇から口の中に鉄の味が広がった。



『素直に言えば、家に帰してやる』



 先程の男は再びそう言うと部屋から出ていった。それから再び拘束され、何度も違う男から殴られながら尋ねられるが一切答えることはしなかった。



「…………」



 バカ兄貴、さっさとしろ。



 そう心の中で叫び、押し寄せてくる痛みに耐える。



 コツコツ……



 いつしか足音が近付き、再び自分の前で立ち止まる。また、始まるのかと覚悟をすると、正面にいる人物は跪き、明希の左腕を掴み上げる。全身に駆け巡る激痛に明希は初めて声を上げた。




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