EP.4 お兄ちゃんは超ボロボロ-7
「こっち、見て」
「ひかりっ、ひかりいけない、下のお口でお兄ちゃんのおちんちんを、お前はまだ小が・・・」
意識は飛んだままで、未だに昔のひかりにしか見えないらしい。
ここまで体を張っても尚病状が回復しないなんて・・・
ひかりはこれ以上どんな方法を用いたら兄が治るのか分からず、腰を振りながら途方に暮れていた。
どうしようも無い寂しさがひかりの心を追い詰めていく。
「お・・・にい・・・ちゃん・・・」
無意識に、口をついて出た言葉
何年も前に止めてしまった呼び方を、もう一度口にしていた。
すると典明の体がビクッと強ばり、ずっと違う方を向いていた目がひかりを捉える。
その表情は唇が微かに開いてわなわなと震えたまま、固まっていた。
「ひかり、いまなんて言った」
「えっ、あの、だから、お、お兄ちゃん・・・って」
ちゃんと受け答えが出来たので意識がこっちに戻ってきた、とひかりはひとまず安心した。
だがその思いはすぐに崩れ去る事になるのだった。
「聞こえなかった。だからもう一度言い給え!」
「ひゃっ?!」
物凄い勢いで起き上がる典明の体には既にエネルギーと変態さが充満しており、所謂犯る気満々の状態だったのだ。
たった今正常の状態に戻ったばかりにも関わらず、すでにひかりの匂い立つ女の香りを感知している。
「顔、見てもいい?」
ひかりはじっと典明の面を拝み、念を押す様に何秒も凝視し続けた。
「良かった、いつものお兄ちゃんだ!」
瞳の奥に戻った輝きと鯣のようなじわじわくる体臭を嗅いで、ようやく兄が生還したという実感が湧いてきたのだった。
そして、ひかりの喜び以上に典明は幸福で満たされていた。
ずっと待ち焦がれていた5文字の呼び方を、美しく成長した妹が口にしたからだ。
「ひかり、もっと言いなさい。お兄ちゃんとお呼び!」
「・・・・・・・・・」
ひかりは焦らす様に口だけ¨お¨の形にしたまま、言葉を発さない。
何度も早く呼ぶ様に言ったものの、そのまま口を閉じたり、また開きかけて何も言わず、典明の気持ちをモヤモヤさせる。
「言ってほしい?」
「うん!うん!聞きたい!」
「・・・・・・・・・・・・」
再び口を¨お¨の形にして、典明に顔を近付けるひかり。
そこで照れてしまい、はにかみながら咳払いして、ゆっくり口を開けた。