Island Fiction第4話-3
「旦那様は今日から三日間、ニューヨークよ」
「ニューヨークって、アメリカの?」
「フッ、そうだったわね。あなたバカだったわね。まあいいわ」
ササキが注射器を手に取って、わたしの目の前に見せびらかした。
何の薬かは想像も付かないけれど、わたしを恐怖で凍り付かせる効果は十分にあった。
「いや! やめて!」
「黙ってケツを向けなさい」
わたしは命ぜられるまま、四つん這いになろうとした。
しかし腕が使えないので膝立ちのまま困っていると、ローズに髪をつかまれて床を舐めさせられた。
「ケツを上げんのよ!」
と横っ腹に蹴りを入れられた。
「くぅっ!」
たまらずわたしはお尻を突き上げた。
「イヤらしいマンコね。ヒクついてるじゃない」
「そんな、嘘……」
ヴァギナに金属が当てられる。
「ひぃっ!」
冷たさが伝わり、思わず声を上げる。
首から下がまったく見えないので確かではないが、クスコが挿入されたようだった。
膣が広げられていった。
「だから怖がらなくていいのよ。言ったでしょ? すぐにここから出たくなくなるからって。暴れると針が折れたりして危ないわよ」
体の震えを必死で押さえた。
ササキの白衣に付着した消毒液の臭いが緊張感をさらに掻き立てる。
子宮は痛みに鈍感な器官なので、刺された感覚はなかった。
薬は注入されたはずなのに、手も足も動くし、体のどこにも変化はなかった。
「どうしたの? きょとんとして……。痛いのを期待してた?」
「そんな……」
「いわゆるGスポットって呼ばれている部分に薬を打ったの。この薬はね、器官の働きを活性化させるの。通常の三百倍の感度になるのよ。当社比だけど……。言ってる意味分かる?」
分かるわけがない。
考える余裕すらない。
「これは塗り薬の比じゃないわよ。すぐに狂っちゃうから」
とローズはいたずらっぽく笑った。
自らの言動に酔っていた。
どこか芝居がかっていた。
わたしを取り巻く男たちが一斉にわたしの体をまさぐった。
五人の男たち。
十個の手。
五十本の指がわたしの体の上を這いずり回った。