Island Fiction第4話-2
その日も、わたしはお出かけになるお父様を玄関で見送り、いつものように書斎へ入った。
いつものようにネットサーフィンを楽しみ、エロ動画を鑑賞してオナニーして、疲れて椅子にもたれながら眠ってしまった。
目を覚ましたときには、目の前でローズが仁王立ちしていた。
秘書であるローズが部屋に入ってくることは十分に予想できたことだったけれども、お父様が出かければ、ローズも当然のようにお供をしているものだと思い込んでいた。
わたしの油断だった。
神聖な場所を汚した娘に、どのような仕打ちが待ち受けているのか。
わたしは恐怖でおののいた。
罰を受けることへの恐怖ではなく、お父様を悲しませてしまうことが怖い。
お父様の信頼を裏切ってしまったことへの後悔と自責の念の方が強かった。
「旦那様はどんな顔なさるかしら」
ローズの言葉が胸に突き刺さった。
「黙っててあげてもいいんだけどねぇ」
一瞬でも期待してしまった。
それが間違いであったことは言うまでもない。
わたしは地下室へ連れて来られた。
知らない場所だ。
コンクリート剥き出しの壁が四方を囲み、唯一の出入り口も鉄の分厚い扉で塞がれている。
監禁するには絶好の環境と言えた。
大声を出しても、簡単に外へ漏れることはなさそうだ。
服をひん剥かれた。
両手首と首を断頭台のような一枚板の拘束具で固定された。
足首には囚人らしく重りがつながれた。
わたしは男たちに囲まれた。
庭師と調理人と、他にも見知らぬ人間が何人もいる。
これまでにローズやメイドに体を見られることはあっても、男の使用人たちに裸をさらすことはなかった。
股間を隠そうとして内股になった。
わたしは所在無さげに部屋の真ん中で佇み、これから受ける仕打ちに脅えた。
「こんな場所知らなかったでしょ? 怖い? でも平気よ。すぐにここから出たくなくなるから」
「なにをするの?」
「お仕置きよ」
とローズはわたしのほほをベロンとなめ上げた。
ローズの傍らにはササキがいた。
彼は日頃の健康管理を任されていたわたしたちの主治医だ。
ササキは定期検診と同じようにわたしの指先に機器をつけて脈を測り、聴診器で心音を確かめた。
「時間はたっぷりあるから、じっくり楽しみましょう」
「時間があるって……」
夜になればお父様が帰ってくる。
時間はそれほどあるとは思えなかった。