サイレント・イブ-7
… … … …
あかねがエロい事しているという話を聞いてから、僕は本当は羨ましかった。
羨ましくて羨ましくてどうにもできなかった。
そんな言葉が胸の中から出かけて僕はもうそれ以上言葉を紡ぐのをやめた。
今、そのあかねのぬくもりが俺の胸の中にある。
抱いてしまいたい…
「いいわ…好きにして…」
しばらく抱きあっているとあかねは気持ちを決めたように僕の首に腕を回して、ぶら下がるようにベッドに横たわった。
もう、今日の日がイブでも何でもかまわない…
今日は生きてきて、最高の日なんだ。
仰向けに目を閉じたあかねの柔らかい唇にもう一度唇をつけて、胸の膨らみをそっと確かめてみるとAVで見たように感じるどころか彼女は体を硬くして、ただじっと僕にされるがままになっていた。
エロいあかねはきっと何かの思い過ごしだったのかも知れない。
[ アレで男とする ]って何の事だか見当もつかなくなったけど、あかねはヴァージンじゃないだろうか…
緊張をほぐそうとしてしなやかな髪を撫でながら閉じた瞳の横に優しいキスをした。
白いフリースの前を開いてブラウスの小さなボタンを震える手でひとつ、ひとつと外してしまう。
それからジーンズを剥ぎ取って白いおなかが目に照り返すように見えた時、彼女を起こして下着だけにしてしまった。
リボンの模様がプリントされたブラの外し方が分からなかったからだ…
肌と肌を直接重ねながら彼女のベッドに二人で潜り込んだ時に
ピンポーン!
玄関の呼び出し音がけたたましく響いた。
… … … …
(もうっ…こんな時にっ!…)
私はあわてて跳び上がるジーンズに脚を捻り込んで、上着を羽織って玄関に飛び出した。
さっき注文したお寿司が届いたのだ…
今まで生きてきて、最悪のタイミングだった。
「あっ、お寿司…食べない?
お茶煎れようか…」
裸の彼もベッドから起き出して服をつけてしまった。
「ねえ、お寿司は何が好き?」
「全部好きだけど…
ハマチかな…」
「私、ウナギだめ…
あなたにあげるわ。」
「じゃ…玉子食べなよ。」
「あら、玉子だめなの?」
「いや…何となく、おまえ好きそうだし…」
「食べさせてよ、あ〜ん…」
食べ終わっておなかが落ち着くと白けた雰囲気だけが残った。
クリスマスイブに好きな人とロストヴァージンは私の夢だったのに、寿司屋如きに邪魔をされて悔しいったらない。