サイレント・イブ-4
「あの、宮沢君…」
それだけ言って立ち去ろうとした僕をあかねが呼びとめた。
「あのさ…アレ…
私んちなの…」
「お寺っ!?」
「そう…私はお寺の娘なのよ。」
「そうなんだ…」
「びっくりした?」
「まぁ…ね。
…だけど、おまえが好きな事に変わりない。」
あぁ、僕はなにをどさくさに紛れて告白なんかしてしまったんだろう。
しかも教室で…
「あ…そう…私が好きなの…」
「あぁ…好きなんだずっと…」
あかねはさらりとそう流したが僕の脚はガクガク震えていた。
「あのさ…クリスマス…
どうするの?」
「クリスマス?…
何もないけどさ…」
「あのさ…私、ひとりなの…
本山のゴンゴンエでみんな出かけちゃって、小学生の時から毎年ひとりでお留守番なのよ…
よかったら…本堂で一緒にお経でもあげない?」
「お経っ!?…」
「冗談よ。ひまだったら一緒に過ごさないかな…てね。」
思いがけない展開だった。
年上のエロい男もプレゼントもこの際、もう関係ない。
僕は工藤あかねにちゃんと気持ちを伝えて、今年のクリスマスは一緒に過ごせる約束をしたのだ。
あとはクリスマスまでにこれが中止にならないように神様にでも仏様にでも祈るのみだった。