Island Fiction第2話-4
「ありゃ? 甘くて美味しそうな匂いがする」
クルミがクンクンと鼻を利かせる。
食べ物の臭いとは明らかに違う。
でも、わたしにはツッコミを入れる余裕はなかった。
「ダメ、ダメ、出ちゃう!」
姉様の方は四本目を注入された。
「くはぁぁぁ!」
「姉様、出ちゃうよ――っ!」
脂汗を滲ませて堪えているわたしへ追い打ちをかけるように、クルミはわたしのヴァギナに舌を入れた。
「クルミ――! だめぇぇぇ――っ!」
クルミは天然なので、わたしの叫びは届かない。
助けを求めても、メイドが手を差し伸べてくれるはずがなかった。
メイドの光のない瞳がわたしを見下ろしていた。
「遠慮なさらず、どうぞ、存分にお出しください」
そう言っているように感じて、わたしの羞恥心が煽られる。
「うううん……、わたしも……、出ちゃうぅぅ……」
姉様にも限界が訪れた。
わたしの下半身には力が入らない。
堪えようとしてプルプルと足が震えた。
「ああ――っ!! 出るぅぅぅ――っ!!」
「いやぁぁぁ――っ!!」
浣腸液が噴き出した。
姉様と仲良く水芸の共演だ。
一度たがが外れると、制御が利かなくなった。
自分でも驚くほどの勢いだった。
汚らしい排泄の音が浴室に響く。
「キャ――!」
クルミが悲鳴を上げた。
汚物で濁ったクリセリン液を顔へまともに浴びた。
クルミは嫌がるどころか、楽しげだった。
真夏の昼下がりに水浴びしているかのようにはしゃいだ。
数日後、お姉様は突然倒れた。
屋敷の医療施設では対応できず、外の病院へ搬送された。
お姉様がその後どうなったのかは教えられていない。
秘匿するくらいなのだから、きっと悪い結果だったのだろうとわたしは勝手に理解して、詳しく探ることはしなかった。
しばらくして、慰撫の意味を込めてお父様がオモチャを用意してくださった。
森脇京太郎というオモチャだった。
アイドル歌手という職業の男だ。
簀巻きにされて屋敷へ連れてこられた。
わたしたちの興味はすぐにこのイケメンタレントへ移っていった。
人は見たいものしか見えない。
見ようとしない。
姉様を失った悲しみが、次第にわたしたちの記憶から薄れていったのは自然の流れだった。
3話へつづく