愛から生まれる悲劇-7
Side/S
「今やっと休憩が取れました!蒼介さんは何してるんですか??」
「顧問している部活の出し物を見てきたよ。今からクラスに差し入れに行こうかと思ってたんだけど、実沙希のメイド服姿は見られないのか。残念だな」
「そうなんですか!じゃ見せに行きます!」
「そしたら誰もいないところでじっくり見たいから、職員用のトイレの一番奥の個室で待っていて」
「はい」
実沙希は今頃学校の中で自分がデザインした服のまま犯されるのを想像して、胸を熱くさせているのではないだろうか。
僕は売店で大量に買ったお菓子を手に教室に向かった。
教室に到着すると、少しけだるい空気が漂っていて生徒達の顔には疲れが色濃く出ていた。
「みんなお疲れ様!これ差し入れだぞー!」
わぁっと一気に教室の空気が上がって、お菓子に群がる生徒達を残して実沙希が待つトイレへと向かった。
騒がしい教室とは違い、職員室の廊下は異様な静けさが広がっている。
トイレに入り奥の個室に行こうとしたとき、バンッという大きな音がして実沙希の小さな悲鳴が聞こえてきた。
ぱちんと軽い音と同時にがたんと大きく何かがぶつかる音が聞こえてくる。
そして激しく暴れるような音と実沙希の悲痛な叫び声がトレイに響いた。
実沙希・・・
誰に何をされているんだろう・・・
僕は唇を噛み締めながら状況を掴もうと聞き耳を立てた。
どうやら乱暴を働いている相手は篠田らしいこと、あの研修旅行の現場を目撃したこと、そして今から実沙希が犯されそうになっているということはわかった。
研修旅行の映像なり写真なりをネタに強請っているのだろうか。
いや、そんな悪知恵は働かない。
だとしたら、残るは篠田が実沙希に好意を持っていたということだ。
嫉妬に駆られた同級生に犯される実沙希。
さてどうする・・・
僕はあることを思いついて鏡に映る自分に一人ごちた。
お前は悪魔だな
悪魔?
愛する実沙希を
傷つけた奴を
成敗してやるんだよ
「いっちゃう!やめて!!いっちゃったら!いっちゃったら・・・」
実沙希の悲鳴に近い泣き声が耳に突き刺さる。
ペニスを擦っているのであろう粘着質な音が止まって、実沙希のあの声が聞こえてきた。
射精の瞬間を全身で味わっているようなあの実沙希の表情が好きだ。
僕は恍惚とした実沙希の顔を思い出してペニスが硬くなるのを感じたが、ガタガタとドアを開ける音が聞こえてきて、咄嗟に隣の個室へ身を隠した。
上履きを引きずる音が遠くに行ったのを聞き届けると、僕はさも今来たかのように実沙希の個室に入る。
実沙希は便座に座り、顔を手で覆ってひくっひくっと肩を上下させて泣いていた。
可哀相に
実沙希を泣かせるやつは許さない
ちゃんと罰を受けてもらわないとね
泣き止まない実沙希を優しく抱きしめながら、僕は止まらない笑いを実沙希にキスすることで必死に押し殺していた。