Island Fiction第1話 -4
西洋人独特の目鼻立ちのしっかりとした金髪美人だった。
白人といえばグラマラスな体型を想像してしまう。
確かに彼女は高身長であったけれども、体の線は直線で構成されていた。
いわゆるスレンダーボディーだった。
外から見る限り、胸のふくらみはブラのパットの分だけしかなかった。
そのことは彼女のコンプレックスだったらしく、屋敷の娘に肌をさらすことは決してなかった。
お父様は女としてのローズには興味がないようで、手を出すことはなかった。
彼女は彼女の秘書としての能力を買われて雇われているようだった。
「旦那様、朝食のお時間でございます」
事務的な口調だった。
訛りはなく、日本語能力は完璧だった。
「今日の予定は?」
お父様が起き上がった。
でも、わたしはお父様を放さなかった。
ペニスを握りしめ、先端にキスをした。
お父様のモノはぴくりと反応して硬さを増した。
「はい。九時に民政党の小笠原幹事長がお見えになります」
ローズは視線をピクリとも動かすことなく言った。
彼女にとってわたしは透明人間であるかのようだった。
「またおねだりか……。そろそろ切り時かもしれんな……」
ペニスを吸われてお父様は呻いた。
ローズの滑らかで落ち着いた声の上へ、ペニスに吸い付く音が混じって、お仕事の会話を淫靡なものにさせる。
お父様が喜んでくださっている。
わたしは嬉しくなって、ますますフェラチオに力が入った。
「十一時に阪木健一郎様がご訪問。十三時三十分、帝国ホテルにて田所経団連会長と会談。十五時、市民銀行の高須頭取と打ち合わせ。十七時、アメリカ大使屋敷にてスペンサー外務次官と会談。となっております」
「なんだ。阪木君とは昼食も取れんのか?」
「以下のスケジュールを二時間ずつ遅らせます」
「頼むよ」
「朝食はどうなさいますか?」
やっぱりローズは一度もわたしへ視線を向けることをしない。
わたしは彼女が苦手だ。
外国人だから差別しているわけではない。
上から目線の物言いがわたしを萎縮させるのだ。
彼女の方も積極的に友好を深めようという考えはないようだった。
わたしはわざとローズへ見せ付けるようにお父様を独り占めにした。