沙恵の休日-3
「そうだね…」
「そうよ!ファンの為にも今は与えられた仕事を頑張って…またあのカッコいい演技を見せてよ」
沙恵も優しく微笑みかける。
「そうだね…ファンの人の為にも頑張らないとね」
小さかった勇人の微笑みがTVでよく見る人懐っこい笑顔に変わった。
「やっぱりカッコいいわねぇ」
沙恵も嬉しげに勇人を見つめる。
「沙恵さんって…なんか学校の先生みたいだね」
勇人も眩しげに目を細めて沙恵を見つめる。
ホントに教師なんだけど…。
そう思いながらも黙ったまま…微笑み続けた。
「ありがとう!ありがとう…沙恵さん。
俺…また頑張れそうだ」
勇人は海老原勇人として完全に復活した。
「流石よ!海老原勇人」
嬉しそうに笑う沙恵…勇人の手を握る力がグッと増す。
「本当にありがとう沙恵さん…何かお礼しなきゃ…」
勇人も微笑みながら沙恵の手を握り返してきた。
「そうね…キスでもしてもらおうかしら…」
沙恵がイタズラっぽく勇人を見つめた。
「………」
勇人はその特徴的な切れ長の目を見開いて沙恵を見つめ返す。
「ごめんさい…冗談よ」
沙恵は子供の様な笑顔で勇人のその目を覗き込んだ。
勇人は黙ったままだった。
そして意外とも取れる言葉が勇人の口をついて出てきた。
「俺…俺も…沙恵さんとキスしたいけど…」
あまりに正直すぎる勇人の言葉に沙恵も戸惑っていた。
「め…迷惑じゃ…ない?」
今の勇人は何処にでもいる一人の純朴な青年だった。
これ以上ない程の優しい笑顔で顔を横に振る沙恵。
「二人だけの秘密よ…」
熱い吐息と共に漏れる沙恵の言葉。
勇人の立場を思いやった優しい言葉であった。
薄っすらと瞼を閉じた沙恵。
そっと勇人の唇が重なってきた。
勇人の唇は微かに震えている。
沙恵は勇人の広い背中に両手を回し…その引き締まった身体を抱きしめる。
勇人も同様に沙恵を抱きしめながら…その唇を激しく貪る。
二人のソレはまさに男と女のくちづけ…それ以外の何物でもなかった。
勇人の唇が沙恵の唇をそっと離れた。
潤んだ瞳を僅かに開く沙恵。
痛い程真剣な勇人の視線と絡み合う。
「沙恵さん…俺…」
今度は沙恵の方から唇を押し付けて勇人の口を塞いだ。
勇人も沙恵の唇を受け入れながら…沙恵の身体をまさぐり出す。
沙恵は勇人の唇を吸いながら、その身を勇人に委ねる。
ブラウスの上から沙恵の乳房をまさぐる勇人の手。
沙恵の全身はじんわりと心地良い暖かさに包まれてくる。
勇人の指先が沙恵のブラウスのボタンにかかった。
沙恵も勇人のシャツのボタンに指先をかける。
つかの間の逢瀬を楽しむ恋人同士の様にお互いの服を脱がしてゆく沙恵と勇人。
一糸まとわぬ二人がソファの上で重なった。
勇人は沙恵の首筋に唇を這わせながら…沙恵の女性の部分を愛撫している。
「はぁ…アァ…う…」
沙恵の口からは熱い吐息を含んだ喘ぎ声が漏れ出ている。
沙恵の濡れた部分とその上にある最も敏感な部分を丹念に擦る勇人。
沙恵も勇人の男性自身を愛撫し…勇人の愛撫に応える。
そして勇人は繊細な手つきで沙恵の片脚を抱え…沙恵の股を開いた。
「あぅ!あぁぁぁ!」
勇人の男らしい物がゆっくりと入ってきた。
眉間にシワを寄せ快感の波に飲み込まれゆく沙恵。
沙恵と勇人は今一つになっていった。
ソファに裸のまま寝転ぶ勇人。
その胸に顔を重ねる様に沙恵が添い寝をしている。
天井を見上げた勇人がポツリポツリと口を開く。
「沙恵さん…俺…沙恵さんの事を…」
沙恵は再び、くちづけで勇人の言葉をさえぎった。
そしてゆっくり唇を離す沙恵。
暖かな眼差しで勇人を見つめている。
「さぁ…行きなさい!海老原勇人!ファンがあなたの帰りを待ってるわよ!そして…私たちに…またあなたの素晴らしい演技を見せて!」
勇人は沙恵の言葉に涙を浮べながらも力強く頷いた。
完