悔し涙が身に染みる……。-27
**
隣の部屋が静かになった。
だが、まだ何か音がする。
ちゅちゅっとなにかがひっついたりする音。
――なんだろ……、何してるんだろ、奈々子ちゃんたち……。
志保は壁のほうを見ながらぼんやり考えていた。
彼女の周りだけの天動説は徐々に弱まってきた。だが、まだアルコールは抜けていない。
寝返りを打ち、今度はふすまを見る。向こうでは奈々子の「……します?」とささやく声が聞こえたが、一体なにを企んでいるのだろうか?
――あれ? じゃあ、そっちは?
再び壁のほうを見る志保。ゆっくりと起き上がり、壁に耳を着ける。
――ん、聡先輩の、大きくて……顎はずれいちゃいますよ……んじゅぷ……。
――そう、そこ、そこいいよ……。だいぶよくなった……。
壁の向こうのきしむ音、水の音、嬌声は全て佐奈と聡のものだとわかる。
だが、二人の仲むつまじい声を聞いてしまえば、自分の心配こそが杞憂であり、無意味だと知る。
――ばっかみたい……。
仰向けになって天井をみる志保。もう誰かを心配する必要もないのなら、帰ってしまおう。その方が良い。
――よし!
彼女は起き上がり、そしてふすまに手を掛ける……と、
ガラッ!
いきなりふすまが開き、広崎と三戸部、それに奈々子と顔を合わせる。
「あ、あの、あたし帰りますんで……」
「まぁまぁ、そんなこといわないで……ね、ね、もう少し飲んで……」
「いや、帰りますんで……通してください……」
通路を阻む三人に押し込まれる形で部屋に戻される志保。肩を捕まれ、強引に座らされ、さらに口に先ほどのお酒を押し当てられる。
「いや、いや……んぐ、ぐぐぅ……ごくごく……」
喉を通る灼熱のもの。それは先ほどよりも濃く、深みのあるものだった。
「おお、さすがだねえ。いいのみっぷり……」
ごくごくと飲み下すのをみて、三戸部はようやく彼女を開放する。
「なにするんれすか……」
抗議をするもろれつが回らない。立ち上がろうとするも、力が入らずふらふらする。
「おっとっと……、ほらほら、座って……」
広崎に肩を捕まれ、そのまま座らされる。
「あららぁ、志保先輩、いろっぽ〜い!」
奈々子の甲高い声が頭に響く。
「じゃあ、もう少し飲んでみようか?」
再びビンを向けられ、志保はそれから逃れようとするが、やはり捕まり……、
「いや、やめ……んぐ、んごく、ごく……」
無理やり飲まされる。
「うぼべぇ……」
の見下すことが出来ず、吐き出す志保。畳にはきだし、げほげほと咽る。
「あーあ、志保先輩、お行儀悪い〜」
「あらら、服汚れちゃうよ。ほらほら、風邪引いちゃうから脱がないと……」
三戸部は彼女のシャツに手を掛けると、ボタンを器用に外していく。
「や、やめれぇ……」
拒もうと手を出すも、奈々子につかまれる。
「おう? あれ? しほちゃん、ブラジャーしてないよ? おっぱいまるだしだ〜」
ぽろんとはみ出るDカップのおっぱい。
やや汗ばんでいるそれが顔を出したのは、先ほどの命令で下着を脱いだままのせい。
「やだ……やめ……さわらないで……」
「じゃあ今度は下を……」
広崎は彼女を布団に突き飛ばし、三戸部が上半身に覆いかぶさる。
志保は抵抗したが、彼女のパンツはしゅるしゅると脱がされていく。
「おお、こっちもパンツはいてませ〜ん! 志保ちゃんはノーパンノーブラの変態ちゃんでした〜」
広崎ははしゃぐようにそういい、がっちりと脚を持つ。
「やめてください! そんなことしないで!」
金切り声で抵抗する志保だが、シャツもパンツも広崎が別の部屋へと持っていく。
胸元では三戸部が面白そうに乳首を弄っており、摘んでは押し込みと気持ち悪い。
「まったく、パンツもはかない変態さんだなんて……」
部屋に戻ってきた広崎がそう言うと、三戸部もようやく身体を起こして彼女を開放する。