悔し涙が身に染みる……。-18
「なによ、これ! この白いの!」
「それは……だから……」
「人のこと散々疑っておいて、自分は何してたの?」
「いや、だから、オナニーしてただけだって……」
苦し紛れの言い訳が真実だとしても、むしろ異常なこと。かといって素直に認める道もない。
「変態! 皆がいる部屋でオナニーしてたっていうの? ふざけないでよ! もう知らない!」
佐奈は怒り任せにむき出しの亀頭を弾くと、そのまま部屋を出てしまう。
「くあ〜〜……、痛そう……」
感慨深そうに呟く聡と蹲る栄治。しばし沈黙が流れるのも当然なのかもしれない……。
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「どうする? 佐奈ちゃんも行っちゃったし、もう止めようよ。なんか楽しく飲んで騒ぐって感じじゃないし……」
志保の提案に幸一も頷く。
「そうだよ。終電組も俺のアパートに泊まるんだろ? あんまり遅い時間に来られると隣の人とか迷惑だし、さっさと帰ろうぜ……」
後は宏美に達郎、栄治が賛成してくれれば数で上回る。革命も成功するはずだ。
「え〜、だってなんか中途半端だよ〜。もう少し時間ありますし、ちょっとだけ〜」
奈々子は達郎の膝の上でじたばたし始めるが、彼女は無視するに限る。
「達郎君はどう? まだ続ける?」
「えと……おれは……どっちでもいいかな?」
「え?」
「いや、まあ中途半端だしさ……」
「ちょっと、ねえ、宏美は? 宏美は早く……」
「んっ……え? 何?」
宏美のほうを見ると、彼女のパーカーから右肩がはみ出しており、そこには赤い点が見えた。
「だから、もう帰りましょうって……」
「え? でもあたし電車ないし……」
「なら一緒に幸一の部屋に来れば良いでしょ?」
「幸一君の部屋? で? 続きするの?」
「〜〜っ!」
惚けた顔の宏美は始めてみる。潤んだ瞳と汗ばんだ首筋。口を息をしているせいでその呼吸がよくわかる。彼女が迷っているのもよくわかる……。
「んでも、幸一の部屋ってそんなに広くないだろ? 皆で行くとなると無理ない?」
「じゃあ……、他に……」
「そうだ、なら先輩のアパートに行く? 近くに居るんだよ。連絡したら平気だと思うけど……」
聡の提案に志保は渋い顔。この状況を作り出した側の言い出したことであり、何かしら裏があるかもしれないと勘ぐってしまう。
「ほら、ぐずぐずしてないで。佐奈ちゃんが心配でしょ? 早く、早く!」
急かす忍に不安はあるが、このままここでおかしなゲームをするぐらいならその方が良いと、志保は頷いた。
「わかりました。じゃあ、佐奈さんが心配だから、先に行きますね……」
志保は近くにあった佐奈のと思しきショーツとブラを拾い、部屋を出た。