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異界の情交
【ロリ 官能小説】

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異界の情交-9

そして春が訪れた。
結局私は志望していた大学には受からなかったが滑り止めで受けた専門学校の方は合格した。
こちらは短大並みの試験があり、老舗とあって競争率は高かったがこちらは合格した。
試験合格を報告しようと私は再びあの書店に向かった。書店で立ち読みしながら1時間待ったが
脇宗は来なかった。まぁいい。また今度探せばいいと書店を抜けて歩いたら少女らしき声がした。
「お兄ちゃん!」ふと見た。するとそこには春用の白のワンピースを来て、白い帽子を被った少女だった。
瑞恵である。瑞恵は後ろ姿で立っていた。瑞恵が立っていた場所は空き地だった。
「瑞恵ちゃん!」
私は駆け寄った。瑞恵が振り向いた時、私はその姿に愕然とした。瑞恵の腹は
大きく膨れ上がっていた。瑞恵はその腹を両手で押さえている。
それは妊婦のようだった。いや妊婦そのものだった。
「瑞恵ちゃん、そのお腹は・・・。」
「ごめん。嘘ついてた。実はその日は生理は近くなかったの。」
「じゃこのお腹は・・・。」
「そうよ。このお腹にいるのはお兄ちゃんと私の子よ。」
私は言葉を失った。瑞恵は12歳にして私の子を孕んでいたのだ。あの夏の私と瑞恵との
セックスで出来た子どもだったのだ。しかし私はそこで逃げるわけにはいかなかった。
瑞恵のお腹にいるのは私の子なのだから。そして私は思った。私は瑞恵を愛している。
愛しているからこそ瑞恵を探しに脇宗を探しているのだ。
「瑞恵ちゃん、一緒に逃げよう。俺学校も辞めるし家も出るから。子どもを産んで
二人で育てよう。世間がどう思おうが」
「・・・ごめん。それは出来ないの。だって・・・。」
「だって?」
「お兄ちゃんの世界とあたしの世界は違うんだもん。」
「え?」
私は何を言っているのかわからなかった。
「あたし・・・この世の子じゃないの?」
「え?」
一体どういう事なのか。私は一瞬理解できなかった。つまり瑞恵は幽霊なのか。
「な、何を言っているんだい?」
「実は私もこの世とあの世の人との間に生まれた子なの。お母さんは私を産んで
私が12歳になったら生まれ変わったわ。私もこの子を産んだらお兄ちゃんのいる
世界に生まれ変われるの。」
私はただ茫然とした。つまり瑞恵はこの世とあの世の人間の子で、そして私とセックスして
子どもを身ごもり、産んでその子が12歳になったら生まれ変われるというのか。
「本当はお兄ちゃんに別れを言いたかったの。あたしもお兄ちゃんが好きだし愛しているわ。」
気がつくと私は涙をポロポロ流していた。そして私は瑞恵を抱きしめた。
瑞恵も涙を流している。
「私の事、忘れないで。」
「忘れるもんか!」
「子ども産んだらお兄ちゃんに手紙を送るから。」
「ああ。」
「子どもの名前はお兄ちゃんが決めて。」
「女の子だったら・・・美月にしよう。」
「いいわ。」
私は体を離すとそこにはもう瑞恵はいなかった。
そして耳に瑞恵の言葉がこだました。
「ありがとう、そしてさようなら!!」
私はふとつぶやいた。
「さようなら、瑞恵。愛している。」

それから数週間後に当て先不明の私宛の封筒がきた。私はそれを手に取って封筒をあげた。
やはり瑞恵からだった。瑞恵が病院で出産し子どもを抱いている写真と近状が書かれた手紙が入っていた。
子どもは女の子だったので約束通り美月という名づけた。美月は確かに私にもそっくりだった。この赤ん坊が我が子であるのは疑いようがない。
あれから20年。もう瑞恵は生まれ変わっただろうか。そして美月も生まれ変わったかも知れない。
あの経験は今も忘れられない。もしかしてそれが私に小説を書くきっかけになったのかも知れない。
あの店じまいした書店に立ち尽くすと再び脇宗の声がしてきそうだった。
「またロリを抱きたいから来たのか。」
そんな声が雨に混じってしたような感じがした。


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