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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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喫茶店 daisy-3

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 月が昇り、空が暗くなった時分――



「こんばんはー」



 ベルの音と共に店の中に入ってきたのは朝、いきなりいなくなった明希。



「お帰り、明希ちゃん。お疲れ様」



 カウンターの中から湯来が出迎えると、明希は笑顔を浮かべ、一目散にカウンターの一席に鞄を置いた。そして、そのまま明希は店の中を見回す。



 閉店間際ともあって、店内には客がいない。そして、カイキの姿も。



「カイキくんなら、厨房(なか)よ。手先が器用なのね。料理教えたら直ぐに覚えたわ。何か食べる?」



 カイキのことを伝えつつ、学校からそのまま来たのだろう明希に食事を促す。



「え、あ、じゃあ、サンドイッチと野菜ジュース」

「はいはい。ちょっと待っててね」



 注文を受けた湯来は厨房の中に消え、静かになった店内で明希はぼんやりと店の外の風景に目をやった。



 暗くなると表情を一変する街。

 今みたいな時間はゆっくりと昼間に活動しない連中が動き始める。窓の外にちらほらと見える若者の姿。学生とかそういったものではなく、今から遊びだそうかと言うような装い。

 それがおかしいわけじゃない。ただ、懐かしいだけ。



 カタン



 よそ見をしていたせいで全く気づかなくて、驚いて前を向くと目の前には綺麗に盛り付けられたサンドイッチと野菜ジュース。そして、カウンターの中には黒いエプロンを掛けたカイキの姿。




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