Crimson in the Darkness -離別-(side;lee)X-2
「なら、あいつ…、アークは?」
びっくりした。アークの名前が出てくるとは思わなかった。ヒューイをじっと見ていたら、ちょっと笑われた。
「何であいつが怒ったか解るか?」
ヒューイはおれの隣に座ると小さく笑いながら、訊ねてきた。
「え、おれが何も…言わなかったから……じゃないの?」
「それもあるだろうな。でも、それだけじゃない。―――お前は肯定した。あいつがお前を『拒絶する』と思い込んでたことを認めた」
「違うよっ ただ怖かったんだっ」
「難しいと思う。心を言葉で言い表すことは完璧には出来ない。でも、あれではアークも『辛い』」
「言ってる意味、解んないっ」
解かりたくないだけなのかもしれないけど。ジッとおれを見つめてくる青い目が何でか怖く感じて、俯いた。
「一ヶ月前、リーがアークの怪我を治した時から、あいつは気付いてた。リーが特異な存在だってことに。さすがにダンピールとは気付いてなかったみたいだが。それでもお前を守ろうとしてた。どれだけ悪魔を憎んでたとしても、お前は別、ということだ」
「…………」
そんなこと…………今更言われても、……どうしようもないじゃないか。
でも、アーク、そんなこと言わなかったから、気付いてないのかと思ってたけど、よく考えればおれみたいな子供がウソ吐いても大人にはすぐ解るよね。