Crimson in the Darkness -離別-(side;lee)W-5
「? リアナが怒ってるよ」
「大丈夫だ。怒ってるんじゃなくて、恥ずかしいだけだから」
「ヒューイってばっ!」
うん、なるほど。顔が真っ赤なのは恥ずかしいからだってことは解った。でも、もう一度リアナを見ると、怒ったような困ったような顔で不貞腐れた顔をしてた。
「もうっ …………あ、リーちゃん。今日、夕方から私ちょっと出掛けるからヒューイとお留守番しててね。明日の昼には空港に行かなきゃいけないから、色々準備があるんだ」
さっきまでの表情がウソみたいに無くなって、リアナは少し面倒臭そうな顔でそう言った。
「……うん……」
そっか。明日にはこの国、出ちゃうんだ。もう、会えなくなるんだ。
「最後に会いたい?」
リアナがおれの顔を見ると、少し寂しそうに笑って言った。
「…………ううん。いい」
会いたい。けど、おれが会いに行ったら、アークが嫌な思いをする。…………だから、会わない。もう、あんな顔して欲しくない。
だから、いい。それにきっとまた泣いちゃうから。泣きたくないんだ。弱くなっちゃうから…………嫌なんだ。
ヒトリで生きること。それが出来るようにならなきゃいけないから。もう泣かない。