Crimson in the Darkness -離別-(side;lee)U-4
「ヨーロッパだ」
「!? ヤだッ!」
とっさに叫んだ。
子供のおれにだってヨーロッパくらい解かる。ここに来る前住んでた。ここから凄く遠い。それくらい知ってる。だから、嫌なんだ。
「嫌とかそういう問題じゃねぇ。お前、自分が何に追われてンのか本当に解かってるか? 人間が悪魔と呼ぶ連中の中でも一、二を争う種族だぞ。ヴァンパイアってのは」
「だけどっ 嫌だっ」
それを伝える為に頭を横に振るくらいしか出来なかった。でも、それでしか伝えられない。何でそんなに嫌なのか、おれだって解かんないんだから。ただ……アークと離れたくないだけなんだ。
すると、でっかい溜息が聞こえた。
「いい加減にしろ!! ッンのクソガキ!!」
「っ」
身体がビクッと跳ねた。この時、初めてアークに本気で怒鳴られた。いつも口は悪いけど、アークに感情的に怒鳴られたことなんてなかった。
「駄々ばっかりこねてんな! 状況はお前が思ってるほど易しいモンじゃねぇんだ!! 生きたいなら、あいつらと一緒に行け! 解かってるだろう!! オレじゃお前を守りきれねぇんだよ!!」
それだけ言うとアークは部屋から出て行った。扉を思いっきり力いっぱい閉めて。