オカシな関係1-11
「ん…」
こんな強引な手段に出たのは初めてだ。
柔らかに押しつけてくる感触にドキドキする。
ぺちん。
私は思い出したようにもがいて手を伸ばすと涼ちゃんの額をたたいた。
「んもう!ばか!」
「これ、今日のね」
いつもの白い箱。
あんなケーキ見せられて断れないよ。
あんたはいつだってまっすぐで諦めずにつかみ取る。
変な手練手管は一切なしで。
いつのまにか私の心にも居座って。
そして私はカウンターを食らった。
「あんたって、ほんとばか」
女の子なんていっぱいいる。可愛いコだって、優しいコだって。それなのに。
私が箱を受け取ると、隙をついてもう一度くちびるが触れた。
私は涼ちゃんのシャツの胸元を握りしめて、それを受けた。
とても楽になった。
きっと今なら無理なく好きだと言える。
…でも、なんか悔しいから言ってあげない。
「おっと、午後の仕事はじめなくっちゃ!またね。今度おでかけしようね」
涼ちゃんはあわただしく店の方に向かった。
自分の店の前であんな風に…恥ずかしくないのかしら。全く。
と思っていたら。
「っっったあ!」
と、ドアの前でガッツポーズで叫んでた。
……。蹴り倒しておくべきだったかもしれない。
私も逃げ出すようにその場から離れた。
でも。なんとなく笑ってしまう自分を止められなかった。