第1話『うそっぱちとほんまもんの恋』-1
第1話『うそっぱちとほんまもんの恋』
―― や、ヤバイ。
・・・コレはちょっとヤバすぎるって!
前の穴に挿入されていたバイブからの振動が、想像していた以上にこっちに伝わってきて、このままでは簡単にイかされてしまいそうだ・・。
「っ!!」
―― このアホぉっ!
調子に乗りやがって!振動数、上げんなぁ〜〜っ!
・・・びぃぃぃ〜ん、びぃぃぃ〜ん、びぃぃぃ〜ん。
かっくんかくっんっ。
くっちゅ、くちゅ、くっちゅんっ・・・・。
――(汗)
いかにもーな、卑猥な機械音が、俺の耳にも確かに届く。
薄い粘膜をたった一枚隔てたところで、単調なリズムではあるが、人間サマには決してマネできない、なにやら複雑な動きを擬似性器は繰り返している。
・・・それにしても、コイツはいったい、いつからこんなことやっとったんやろう?
「きてぇ・・、」
と、悩ましげな声と切なげな流し目で、あいつは俺をねだってきた。
―― 断じて言っておくが、誘ってきたんは、あいつの方・・。
ただでさえ短いスカートを惜し気もなく捲り上げ、下着をずらし、これでもかと高く突き出されたケツ。
どう見てもさわり心地のよさそうな、その尻のふたつの頂を自ら割り、開いてみせまでしている・・。
そうやって差し出されたうしろの穴に、思わず突っ込んでしまった俺が悪いのか?
しかし、食わぬ据膳は男の恥とも言うしぃ?!
こうやって冷静に自分を分析していると、なんだか虚しくもなってくるのだが・・、俺という男はハッキリ言って冴えないやつ、かなり地味な人間だと思う。
これといって可もなく不可もなく、そして花もナイ。
まわりとはなるべく波風を立てないように、齢16年にして、まだまだわずかのこの人生を立派に生きてきた。
見た目もなんていうか、どう見たってどこにでもいる典型的日本人の男子高校生ってかんじやしね。
まあ、そんな俺なので当然というか必然というか、友達もそうたくさんいる方ではない。
そんな短い人生の乏しい交友関係で、知り合いに再会するというドラマチックな経験は、「ちょっ、これってもしかして、運命ってやつなんじゃね?」なんて、常にグレーゾーンの俺の心が、思わず華やいでしまうものだった・・。
ぱっと見、オシャレ雑誌から飛び出てきたような、なんとなーく関東ナイズされていて、みんなと同じものを着ているはずなのに、ひとり妙に垢抜けたやつがいるなぁとは思っていた。
なので、その凄まじい進化っぷりに、ニブい俺なんか、一日目の自己紹介のときになって、やっと気付いたぐらいだった。
―― もー、アナタ。
見た目、完全に別人ですがな!
あんまり驚いたもんだから、新学期早々の新クラスという衆人観衆の中、うっかり「まぁちゃん」なんて叫ばなかっただけ俺、ナイスである。