第1話『うそっぱちとほんまもんの恋』-3
「そーいえば、おばさんは?」
「キウイなおとーさんとニュージーランド」
「なにぃ?」
「なんかね、商店街の福引きが当たったんだって。円高歓迎熱烈セール。」
「ソコ、歓迎やなくって還元な、」
・・なんて、このときはまだほのぼのとアホなことを言ってるのだが、このあと俺は、とんでもない状況に引きずり込まれることになる。
俺の知らない六年間・・・、まりあは、純真無垢な子供から『女』というものに進化していたのだ。
『女』と書いてそのココロは、なにが詰まっているのかまったく予想がつかないビックリ箱と説く。
パンドラの箱を開けたのが女だったというのなら、それはコイツのようなヤツだったに違いない。
―― おまえは女子校で、いったいナニを学んできたんやーっ!
それは唐突に提案された、愛すべき幼馴染からの恐るべき申し出で・・、
「ちょっとお願い、聞いてくれる?」
ナゼだかわざわざ、まぁの部屋に通されて、病人に悪いなぁ、なんて水滴の滴る冷たい麦茶を手渡してもらって、さっそくひとくちと思ったときだった。
「あのね・・。こんなこと、女のあたしからお願いするのヘンなことかもしれないんだけど・・、しゅーちゃんさ、セフレってやつになってくれない?」
「・・・ハイぃ?」
―― は?
まりあさん。あなた今なんとおっしゃいましたか?
「このまえ中間のあとの課題、手伝ってあげたじゃん。あれのお礼」
・・そうなのだ。
まぁは向こうでハイレベルな学校に通っていただけあって、俺なんかよりかなりお勉強がお出来になるようだった。
「なんでもいいって言ってたでしょ?」
ああ、たしかに俺は言っていた。ただし俺のできる範囲のことでと。
「だからそれ、セフレで手を打とうっていってるの!」
「せ・・セフレぇ?!」
―― なんやそれっ?! いまどきセフレてっ!
ドコをどーしたらそんなハナシになるというんや!
ここでもし、この俺に、すでにカノジョの一人や二人(なんて完全にありえない話なんだが・・)がいちゃったりなんかしたら、こっから物語が盛り上がって膨らんで、ややっこしー方向にこじれていって、やっすい昼ドラ1クール分ぐらいの尺が出ちゃったりするのだが、
安心してほしい。
読者諸君は、全くそんな心配の必要はない。
「覚悟、出来てるよ。しゅーちゃんにはなにされてもいいって。」
まぁがこちらに背を向け、尻を突き出し、おもむろにスカートの裾をたくし上げた。
「見て・・」
(ごきゅ)
その光景に俺は思わず生唾を飲み込まずにはいられなかった。