生徒会へようこそ【MISSION4:幽霊の謎を解明せよ!】-3
「俺の記憶じゃあんな顔の女子はこの学校にはいない…あれは…あれは…幽霊なんだあああぁぁぁぁ!」
うわああぁぁぁぁぁぁ!と叫びながら、紅は第4多目的室を飛び出していった。
どうやら我慢の限界だったらしい。
そりゃそうだ。あいつはここに来るというだけで、かなりの勇気を振り絞ったに違いない。
「なるほど…。察するにその幽霊をなんとかしろと…手強いな」
うぅむと、宝さんは顔をしかめる。
あーあ、宝さんまたその気になってるし…。
なぜ紅は勇気を振り絞らねばならなかったかと言うと、僕らのクラス7組の窓の向かい側。それは他でも無い、この第4多目的室なのだから。
紅にとってみたら、心霊スポットに脚を踏み入れるなんて自殺物だ。
でも、残念ながら何かの間違いだと思う。
紅はああ言ったけど、本当に女子全員を把握してるかは分からない。その漏れた女子がここにサボりに来てたとしても不思議じゃない。
「あ、ねぇ宝さん…。たぶん、紅の勘違いだから、本気にしなくても」
「いや、そうでもねぇぞ」
僕の言葉を遮ったのはオッさんだった。
相変わらずゴロンと横になって、天井を見上げて目を瞑っている。
「え、どういうことですか?てかオッさん聞いてたんだ…」
「お前のクラスの向かい側ってここだろ?」
宝さんがはっとした顔をして、キョロキョロと辺りを見回していた。
いや、いないから…。
「はい…そうですけど」
「あいつの言うことはあながち間違いじゃないかもしんねぇ」
「はい?」
オッさんまで…。
「何言ってんですか?」
気付くと、キミさんと小鞠さんも顔を上げていた。
その表情はとても真剣で、まるでオッさんの言うことを聞き漏らすまいとしているようだ。
嫌な、予感がした。
「ここの鍵を持ってるのは生徒会の3年だけだ」
ゾワリと背中に悪寒が走った。
生徒委員会の3年生はオッさんだけ。オッさんが鍵を開けない限り、この扉が開くことは無い。
つまり、誰もこの部屋には入れないってことだ。
とは言うものの…。
「幽霊ねぇ〜…」
にわかには信じられない。
僕は気弱で地味で空気でヘタレな奴だけど、紅とは逆で幽霊の類をあまり気にはしていない。
存在がフワフワした不確定なモノ。そもそも、いるかいないかも分からないものをあまり怖いとは思わない。