Crimson in the Darkness -出遭-Y-1
「オイッ どういうつもりだ!?」
リアナの持つ銃を掴み上げ、撃鉄に指を挟むと、彼女はあっさりと得物を手放した。だけど、オレの方は一切見ずに目はリーを見据えたまま、変わらない穏やかな口調で話しかける。
「リーちゃん。顔を上げてごらん?」
「………………イヤだッ!!」
「大丈夫。全部知ってるから」
「ヤだっ」
激しく首を振って、リアナの言葉を完全に拒絶するリー。なのに、リアナはまだ笑ってる。どういう神経してんだっ!?
「アークさんにも説明してあげないとダメだと思うよ。それとも私から話そうか?」
「ヤだッ ヤメロ!!」
この言葉にリーが顔を上げて、リアナを睨みつけた。その姿に薄々感じていたモノが現実として目に映った。
髪と同じ緋色の双眸。いつもの青い瞳の面影なんざ微塵も無え。
「……リー」
泣きそうなくらい歪められた紅い目に涙が浮かぶ。そして、リーは両手でリアナのコートを掴んで、何かを訴えようと口を開くとそこから人のものよりも長く鋭い犬歯がその姿を覗かせた。