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JoiN
【コメディ 恋愛小説】

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JoiN〜EP.4〜-1

『もう頭下げまくった甲斐があったよ、やったね栞菜。ついにドラマデビューだよ!』
「うん、嬉しい」

別に、嘘じゃない。本当はドラマに出てみたかったから。
でも、小さな嬉しさを大きな怖さが飲み込んでしまいそうだった。

『知ってる?頭の下げ方がおかしいとね、腰にダメージくんの。一気に老化よ』
「立花さん腰が悪いんだっけ。大丈夫?」
『動けなくなったら日比野に背負わせるから平気。あいつもそれくらいは役に立つでしょ』
「あはははは・・・あの人、女の人見たら口説いてばっかだもんね」
『あの馬鹿さー、昨日の夜急に風邪引いたから明日行けませんって電話してきてさー』
「・・・風邪?大丈夫なんですか?」
『さっき電話したら出ないのよ。昨日はへらへらしてたくせに、急に倒れたのかしら。まぁ、明日は平気だと思うけど』


日比野さんが風邪・・・?
話してる時は元気そうだったけど、本当は具合悪かったのかな。

『あいつね、そんな体は強くないみたい。入社して何度かこういう事あったし、緊張が解けると体調崩すのかしら』

立花さんに変わった様子は無い。
むしろ、私にドラマの仕事が決まって常時テンション上がってるみたいだった。
結構よく喋る方で、甘いけど少し擦れた様な声は聴いてて不思議と気持ち良かった。
早口だけどきちんと聞き取れて、時折笑うのを挟むんだけど、それも私を惹き付ける。

この声を、怒りで曇らせたくはなかった。
でも、怒られるのも辛いけど、私の為に頑張ってくれた人を悲しませるのはもっと辛い。
・・・だから言えない。私には出来ないなんて、伝えるのは無理だった。


『私を口説いてきた時はね、¨帰んな坊や¨って言ったらそれでKOだった』
「・・・日比野さん、相手悪すぎ。見境無いんだから」
『丁度機嫌も悪かったし、八つ当たりしたのはやりすぎたかな。でも、非常識だよね。上司に会ってそんな経ってなかったのに』

あの人が落ち込む姿は想像出来ないけど、きっとしばらく立ち上がれなかったかも。
でもいつも立花さんに軽い感じで話してるし、もしかして落ち込んだ事が無いのかもしれない。

家にいる時もあんな様子なのかな。
独り暮らしって言ってたし今は彼女が居ないから、家事でもしながらぬいぐるみに話したりして・・・

(日比野さん、本当に立花さんには言ってないんだ)

別に、あの人を疑ってるとかじゃない。
昨日自分で言ってたのをきちんと守ってるのが嬉しかっ・・・・・・

(・・・なんで嬉しいの。ばらしてないからほっとしてるの・・・?)

考えてみたけど、そうじゃない、と思う。
立花さんに隠し事をするのは辛い。だからきっと、それを言わない日比野さんが大人に見えたから。
多分・・・


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