私の柔らかい部分に…-6
「さぁ…どうだか…
俺にはさっちゃんみたいな可愛い彼女がいるわけでもないし…」
「いたら?」
「いたら…」
いいわよ。
もうこの流れなら仕方ないわ。
大事にしてくれるなら中本君と付き合ってあげちゃうわよ…
てか、彼はなかなか思いやりがあって口が堅そうだから今夜さ・せ・て・あげてもいいわよ。
「例えば彼女がいて、危ないからもう乗らないでって言ったら?」
「うん…ダメだろな…
俺はアイツを手放せない。」
なんて寂しそうな顔するんだろ?
抱きしめて舐め回してやりたいわ。
「私なら…言えない。
だってね…中本君バイクの話すると目がキラキラするんだもん。
そりゃ…心配だけどさ。」
決まった…
これで中本君には私が天使に見えてるはずよ。
ねぇ、寂しさを分け合っちゃおうよ…
「やっぱり…
いらないなぁ。
今は走っていたいよ。
彼女とかできたらさぁ…
もしもの時に悲しませちゃうだろ?
危険と隣り合わせには変わりないもんな。」
…って、オイっ!
そっちかよ!
何の話なんだよ爽やかな笑顔なんか見せやがって…
分かったわよ!
あんたなんか地球の裏側まで走っちゃえばいいのよ、まったく。
中本君は改札口の切符売り場で手を振っていた。
私は女を否定されたような最悪の気分で引きつった笑顔を返したのだった。