生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-7
「香住、明日楽しみにしとけよ」
「…はい?」
先生はそれだけ言うと職員室に入っていった。
「あの、ちょ…」
もっと詳しく聞きたかったのに、渡邊先生は他の先生に話し掛けられ職員室の奥へと行ってしまった。
これじゃあ諦めるしかない。
結局、もや〜んとした気持ちのまま僕は帰路へつくことになった。
そして次の日。
一夜明けてもまだもや〜んとしていた僕は、月一の全校朝礼で表彰されることになる。
全校生徒の前で急に名前を呼ばれ、その場に立ち上がった。
注目を浴びる。全員が床に座る中一人だけ立っている。
僕だけ…僕一人だけ。
そう思うだけでぼっと顔が赤くなった。穴があったら入りたい。
校長先生が、昨日渡邊先生が教えてくれた内容とほとんど変わりないことを全校生徒に話す。
「遅刻はいけない。だけどその気持ちは評価に値する」と言ってくれた。
その途端、初めて拍手を浴びた。何百という拍手は心臓にずんと響くようだった。
きっと明日にはみんな僕のことなんか忘れちゃうんだろう。
今だけの賞賛。
それでも僕には初めての経験で、こんな僕でも誰かの役に立てるんだと心が熱くなった。
おばあちゃんは横断歩道のこと知ってるのかなぁ。
喜ぶだろうな。
「おかしいな…」
いつもの時間、おばあちゃんはそこにいなかった。
道路には数メートル感覚で横断歩道が引かれている。
待ちに待っていたのに、一人じゃ嬉しさも半減してしまう。
そのまま数分…。
おばあちゃんは来ない。
今まで時間がずれたことなんてないのに。
腕時計を見てため息を吐く。
このままじゃまた遅刻しなかねない。
「今日はお茶、しないのかな…」
ギリギリの時間まで待って、遠くにも人影が見当たらないことを確認すると僕は学校へ向かった。