投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

生徒会へようこそ
【その他 その他小説】

生徒会へようこその最初へ 生徒会へようこそ 44 生徒会へようこそ 46 生徒会へようこその最後へ

生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-6

「行っちゃった」

「行ったな」

「完全にナベしか見えてなかったな」

「…はっ!優は否定していたが、やはり…」

「自分の本質は隠したがるものだ」

「…うぅっ」





職員室に入る直前の渡邊先生を見つけ僕は叫んだ。

「すぇんすうぇぇぇーっ!!」

「げっ…香住!」

身構えた先生に僕は抱き付いた。
自分でも残念な奴だと思う。ほら、周りの視線が痛いし。分かってるんだ。
でもね!
これは抱きつかずして何をしようか!

「先生っ!ありがとうございますっ!オッさん達に聞きましたっ…!!僕、停学にならなくていいんですね!?」

露骨に嫌がっていた先生も僕の言葉を聞いて、少し顔を綻ばせた。

「お?やっとバレやがったか」

「はい…その…ありがとうございました!」

ここで僕は、やっと離れて深くお辞儀をする。
すると渡邊先生は乱れた髪を整えながら

「礼ならお前自身に言えよ」

と言った。

「はい?」

どういうこと?

「月曜日の最初の授業が始まるとな、決まって電話が鳴るんだ」

…電話?

「相手は毎回同じバアさん」

「…はあ」

「バアさんはいつも『ありがとうございます。助かりました。優しい生徒さんをお持ちなのね』って嬉しそうに話すんだ」

……え?
その『バアさん』って、もしかして…。

「最後に『迷惑を掛けてごめんなさい。ありがとう。と、かすみちゃんにお伝えください』って電話が切れる」

間違い無い。おばあちゃんだ!
何だろう。
心がきゅうっとして、くすぐったくて温かい。
とても、とても嬉しいはずなのに、目頭が熱くなる。
こんな気持ちは初めてだ。

「…おばあちゃん」

渡邊先生はフッと微笑むと職員室の扉をガラリと開けた。
しかし中には入らず扉に手をかけ、首を少しこちらに向けた。


生徒会へようこその最初へ 生徒会へようこそ 44 生徒会へようこそ 46 生徒会へようこその最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前